有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #平成経済の証言

利用者保護と競争力強化に行政の軸足を移したかった 五味広文 その3(全4回)

3分で読める 有料会員限定
ごみ・ひろふみ●1972年大蔵省入省。97年金融監督庁設立準備室主幹。検査部長・局長、監督局長などを歴任した後、2004年7月に第4代金融庁長官就任。現在は西村あさひ法律事務所顧問。(撮影:尾形文繁)

金融庁が特別検査を行った結果、国内銀行の不良債権比率は5.3%から8.4%に膨らんだ(2002年3月期)。不良債権残高は33.6兆円から43.2兆円へ。銀行の想定を大きく超えた額だったが「100兆円ある」という報道も当時飛び出していた中、実像を国が明らかにしたことは、逆に世間の混乱を鎮(しず)める効果を生んだ。海外からも特別検査への評価の声が上がった。

それからの処理は比較的順調に進んだと思う。新規に発生した不良債権は1年以内に5割削減、2年以内に8割削減というルールが設定され、05年3月までに不良債権の水準を半分にするというターゲットも政府によって掲げられた。期限と水準を明確に区切り、受け皿としての事業体(産業再生機構)も用意する、こうした政策パッケージが功を奏した。

04年7月、私が金融庁長官に就任したときは、すでに金融不安は過ぎ去っていた。就任当時、私がしきりに考えていたのは、過去の失敗ではなく未来のことだ。金融機関の間違いを裁くような後ろ向きの行政を早く終わりにしたかった。金融機能を効率的にし、金融の付加価値で経済を発展させるような前向きな行政に舵を切りたかった。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数