市場や国民に対する中央銀行のコミュニケーションが困難になると、金融政策の波及メカニズムは働きにくくなる。それは、政策が限界を迎えつつある証左でもある。
FRB(米国連邦準備制度理事会)のバーナンキ前議長は著書で、「金融政策は98%がトークで、2%がアクション」と回顧する。日本銀行のコミュニケーション(トーク)が困難を極める要因は、政策(アクション)が複雑化していることだろう。さらに論を展開すれば、政策が複雑化する要因は、均衡利子率(潜在成長率)の低下と現金貨幣の存在に求められるだろう。
今後の日銀と日本株の関係を考えると、金融緩和による総需要の刺激と円安がいずれも限界を迎えれば、企業業績の後押しは限られる。その状況下で日銀に何ができるだろう。金融政策の範疇とはいえないが、日銀が買い入れるETF(株価指数連動型上場投資信託)を基金として拠出し、現物株式でアクティブ運用することが一案であろう。
日銀内部で運用が困難であれば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に運用を委託することもできる。
中銀による株式アクティブ運用の一義的な狙いは、淘汰されそうな企業への投資を避けることにより、発行貨幣を裏付ける資産の保全に努めることだ。その重要な狙いは、副次的であるにせよ、日本株式市場の流動性を確保しつつ、企業の競争や淘汰を促すことだ。
アクティブ運用は投資利益を上げるハードルが高いことを多くの研究が示している。一方でアクティブ運用での売り買いが経営者に勇気や危機感を与え、企業の積極的な投資を促してきた面はある。そうした投資は時に「起死回生の一打」となり、「無謀な投資」にもなる。アクティブな株式評価が招くこうした企業の「逆境・反骨」「過信・慢心」が結果的に、アクティブ運用が株式市場で勝ちにくい要因の一つになっているのだろう。
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