安倍晋三首相は新たな政策目標として名目GDP600兆円を掲げた。甘利明・経済再生担当相は、その達成時期を東京五輪のある2020年以降とした。
来年にも予定されている国民経済計算の基準改定で、企業の研究開発支出などが設備投資として算入される結果、名目GDPは20兆円弱、率にすると4%弱カサ上げされるといわれている。しかし、現在の計算基準で公表された政策目標なのだから、あくまで現行基準で600兆円と考えるのが自然であろう。
14年度の名目GDPが491兆円なので、20年度に600兆円を達成しようとすれば、年3.4%の成長が必要となってくる。名目GDPの年間成長率は、1980年代に1.2%、00年度から14年度にかけてはマイナス0.3%とほぼ横ばいであったから、今年度にロケットスタートでもしないかぎり目標達成はとても無理だろう。
それでは、どのような政策手段で目標を達成し、政策目標が達成された暁には、日本経済がどのような姿になっているのであろうか。
日本経済の労働供給環境は、経済成長にとって厳しい状況にある。労働力の中核となる15歳から64歳の人口は、15年から20年にかけて4.4%減少する。この年齢層の労働力を現状程度に維持するには、労働参加率を現行の76%から80%近くまで引き上げる必要がある。
そうした厳しい労働供給環境を踏まえると、「1億総活躍社会」という政策スローガンは、政府が「老若男女よ、もっと働け」と号令を発しているに等しいのかもしれない。
名目GDP600兆円に関して石破茂・地方創生相が興味深い発言をしている。石破氏は「どうやって地方の総和としてGDP600兆円を達成するか」と述べたのだ。
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