以下、気分に属する感想なのだが、最近の経済政策をめぐる国会や政府、日本銀行の議論を眺めていると、失礼ながら質が低下しているような気がして仕方がない。次のようなことがあるからだ。
第一に、提案されたり、実行されたりする経済政策の中に、首をかしげざるをえないものが頻出している。
代表的な例が消費税の軽減税率だ。これがほとんどの経済学者が反対する愚策であることはすでに本欄で述べた(2015年11月28日号→関連記事へ)。15年末の税制改正論議では、企業の内部留保に課税すべきだという議論が閣僚から出た。企業が貯め込んだ利益を、投資や賃上げに回させようという狙いだが、これもほとんどの経済・会計専門家が否定する政策である。内部留保(利益剰余金が積み上がったもの)はいつでも使える貯蓄ではないし、収益の一部なのだからあらためて賃上げの原資にするわけにもいかないからだ。
第二に、突っ込みどころ満載の資料が政府や日銀から出てくるようになった。その典型は、日銀の「5分で読めるマイナス金利」だが、これもすでに本欄で述べたとおりなので繰り返さない(16年4月30日‐5月7日号→関連記事へ)。
その後、もう一つ例が現れた。5月に開かれた伊勢志摩サミットで日本政府が配付した資料がそれである。この資料は商品価格がリーマンショック時並みに低下していることなどを示すもので、世界経済が大きなリスクに直面していることを裏付けようとしたものだと考えられる。しかし、私も含めて多くの経済専門家は、この資料のデータの扱いと解釈に多々疑問を呈している。
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