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人工知能と人材移動 別な産業で働くスキルが求められる時代

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【今週の眼】柳川範之 東京大学大学院教授
やながわ・のりゆき●1963年生まれ。慶応義塾大学通信教育課程卒業。93年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。東京大学助教授などを経て2011年から現職。主著に『法と企業行動の経済分析』『独学という道もある』など。(撮影:今井康一)

いつの間にか、世の中すっかりAI(人工知能)ブームである。その影響はまだ不確実な部分が多いし、どこまで革新的な変化が生じるのかについては専門家によっても意見が分かれている。しかし、およそ意見の一致を見ているのは変化が急速だろうという点だ。

それはAIの発展にとどまらず、近年のITを中心とした技術革新の波が急速だったことからも明らかだろう。今では人々が当たり前のように使っているスマートフォンやタブレットも10年前には影も形もなかったことを思えば、変化の大きさと激しさは知れる。当然のことながら、この変化は社会や経済構造を急速な勢いで変えていくことになる。

したがって、AIの発展がどのような経緯を取ろうと、今後必要になる大きなポイントは、いかに変化に迅速に対応できる社会にしていくかである。

変化への対応というと、多くの人がすぐに思い浮かべるのは、経営者の迅速な意思決定という側面だろう。確かに、技術革新や外的な環境変化に適切に対応して経営戦略を変化させていくのは、企業経営者にとってとても重要なことだ。今後は、今まで以上に速くなる環境変化に会社の戦略をいかに合わせていくかが重要な課題になってくるに違いない。

ただし、その際に大きな課題となるのは、やはり雇用の問題である。会社の戦略や組織構造を大きくかつ速く変えていこうとすればするほど、それは雇用の問題とぶつかる。

たとえば、ある製品を造る工場を閉鎖して、まったく別の製品を新たな海外工場で造る決断を迫られたとしよう。もしも、閉鎖する工場で働いていた従業員が海外工場でその別製品を直ちに造れるのであれば、問題は小さい。しかし、別製品がまったく別の産業に属する場合も出てくる。そうなれば、要求される製造技術はまったく違ったものになり、従業員はそのようなスキルを残念ながら持っていない。

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