経済の停滞が長引くとともに、その責任の一端を大学教育に求める声が出ている。特に経済のグローバル化が一段と進展し、中国をはじめアジア諸国からの追い上げが進むにつれ、大学のグローバル対応の遅れが批判の的となっている。
安倍晋三首相の下で教育改革を進める教育再生実行会議は、大学のグローバル化の遅れは「危機的状況にある」とし、大学の再生は「日本が再び世界の中で競争力を高め、輝きを取り戻す『日本再生』のための大きな柱」だと指摘した。
このような指摘を受け、2014年度から始まったのが「スーパーグローバル大学創成支援」である。10年以内に世界ランキング100位以内に日本の大学が10校以上入ることを目指す。現状では東京大学と京都大学だけが100位以内だから、簡単な目標ではない。この2校を含め、特に日本の大学の弱点といわれているのが、外国語(英語)での授業や外国人教員の割合の低さである。支援事業もいきおい、その方面に力点を置く。これらを通じてグローバル人材の育成を強化しようというのだ。
確かに、大学教育が現状のままでよいとはいえない。だが、経済のグローバル化に対応できる人材の育成を教育だけに任せられるかといえば、それも見当違いだ。企業の人事制度を含めた日本の人材育成全体の問題と考えたほうがよい。
欧米圏では、文系でも大学院レベルの専門職学位が高く評価される。しかも、学部を卒業してすぐに大学院に進むのではない。仕事や旅行、ボランティアなどのさまざまな経験を経たうえで、さらなるキャリアアップを目指して大学院に進学する。特に、私が教えているオックスフォードのような欧米圏の大学院には、世界中から優秀な学生が集まる。その多くは、それぞれの国のトップレベルの大学を卒業したうえで、さらに世界的にワンランク上の学歴を得ようとする。もちろん、英語圏の上級学位を取ることで、専門的な知識にとどまらず高い英語力を持つことは証明済みになるし、そのうえ、国際的な人的ネットワークも広がる。
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