先月末、日本銀行はついにマイナス金利の導入に踏み切った。3年前に始まった量的・質的金融緩和(異次元緩和)ではマネタリーベースの残高が目標とされていたが、今回この目標の増額はなかった。一方で、日銀当座預金の一部に適用される金利がマイナスとなったわけで、これは金融緩和の枠組みが変わったことを意味する。昨年12月には従来スキームの延命を意図した「補完措置」が設けられていたから、マイナス金利は急きょ決まったことだと思う。
昨年末からの原油価格の再下落もあり、3カ月前に2016年度後半とした2%インフレの達成時期は、早くも17年度前半へ先送りせざるをえなかった。春闘を前にした世界的な市場の動揺で、企業の賃上げへの姿勢が一段と慎重化するおそれがあった。そうした中で追加緩和をためらえば、2%達成への日銀の決意を問われかねない。
さりとて、国債買い入れは限界に近づいていたから、大幅な量的緩和は無理だし、中途半端な緩和は市場から「弾薬切れ」と解釈される懸念があった。結局、直前まで否定していたマイナス金利の導入以外に道はないと考えたのだろう。
マイナス金利は、短期から長期までイールドカーブを全体的に押し下げる効果を持つ。実際、長期金利は過去最低を更新し、年初からの円高、株安も一時はかなり反転した。すでに超低金利下にある日本で金利水準が多少下がったとて、簡単に2%インフレが実現するとは期待できないが、景気・物価にプラスに働くことは間違いない。
重要なことは、巨額の国債購入と違ってマイナス金利は長期にわたって持続できる点にある。副作用を考えればマイナス幅拡大に限界はあろうが、当面は必要なら追加の金融緩和が可能だ。本欄でも昨年来、日銀には持久戦への備えが必要だと唱え、マイナス金利導入の可能性も示唆してきた筆者としては、今回の決断を評価したい。
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