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新「3本の矢」の意味 旧「3本の矢」の限界踏まえ方向を立て直し

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[今週の眼]早川英男 富士通総研エグゼクティブ・フェロー
はやかわ・ひでお●1954年生まれ、愛知県出身。東京大学経済学部卒。米プリンストン大学経済学大学院にて修士号取得。77年日本銀行に入行後、長年にわたって主に経済調査に携わる。調査統計局長、名古屋支店長、理事などを歴任し、2013年4月から現職。(撮影:梅谷秀司)

安倍晋三首相は、9月の自民党総裁再選後の記者会見で、希望を生み出す強い経済、夢を紡ぐ子育て支援、安心につながる社会保障から成る新「3本の矢」を打ち出したが、一般の評判は芳しくないようだ。曰(いわ)く、旧「3本の矢」の総括がまだ済んでいない。三つとも的(目的)であって矢(手段)が示されていない。600兆円の名目GDP、介護離職ゼロ、出生率1.80などの目標実現のハードルは高く、現実味に乏しい。

いずれも的を射た指摘である。しかし、旧「3本の矢」が失敗したと公には認めないものの、その限界を踏まえて方向を立て直そうとしたものではないかと筆者はとらえている。旧「3本の矢」の中核を成す大胆な金融緩和は典型的なトリクルダウン戦略だったが、それがまったく機能していないからである。確かに、黒田日銀のバズーカ2発で1ドル=120円程度まで円安が進み、企業収益は大きく改善された。それどころか、昨年来の原油価格急落の恩恵まであって、今年4~6月の経常利益は、法人企業統計季報ベースで見て史上最高を更新している。

にもかかわらず、今の企業部門はまるで、すべてを吸収し何も放出しないブラックホールのようだ。2年連続のベースアップといっても、定昇部分を除いた今年のベア率は0.6%程度で、企業収益の増加幅とは比較にならない。エネルギー価格の値下がりはあっても、円安で食料品などが値上がりしているので、実質賃金の前年比はまだゼロ近傍である。また、日銀短観などの設備投資計画はかなりの強気だが、資本財出荷や機械受注からは、実際の投資が進んでいる様子は見えない。

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