技術革新は産業の構造を大きく変える。少し前まではごく一部の人しか知らなかった金融とITの融合分野を意味する「フィンテック」という言葉も、今やすっかり流行し、マスコミでもしばしば登場するほどになった。定義はややあいまいで、かなり広範囲に使われる用語になっているが、それだけ、この分野の大きな変化の可能性をみんなが潜在的に感じているからであろう。
また、電気自動車や自動運転の技術も急速に進展しており、自動車産業とシリコンバレーの結び付きを示す記事も多く目にするようになった。ITと自動車産業はすでに切り離せないものになりつつある。
アマゾンのように、そもそも書籍のネット販売からスタートした事業者が、書籍のみならず家電や日用品の流通、映画・音楽等のコンテンツ流通に大きな影響を与えるようになった事例もある。
このような技術革新を通じた産業構造の変化は、われわれの生活を大きく変えるだけでなく、企業を取り巻く環境も大きく変える。
重要なことは変化のスピードが急速で、突然大きな変化が起きうること、そしてフィンテックのように産業の垣根を壊す変化が今後も起こりうる点である。
大きな産業構造の変化が生じた場合に問題となるのは、産業ごとの縦割りの構造だ。
ほとんどの規制や法律は事業、産業ごとの縦割りの構成となっている。また行政、監督官庁もほとんどが事業ごとの縦割りだ。場合によっては、企業経営者も業界内での順位などを気にするあまり、縦割りの視点から抜け出せない場合もある。
しかし今後は、縦割りの発想ではなく、もっと機能ごとに業界を横断的に見る横割りの発想が必要だ。そこから新しいビジネスチャンスが生まれてくる。それは単に異業種、異産業に進出すればよいという話ではない。強みをいかに他産業に広げていけるか、という大きな視点に立った事業戦略が必要なのだ。
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