7月にドルは対円で反発したが、これは円安が主導したものだ。ギリシャ不安の後退で市場がリスクオン(リスクを取る方向)に傾いたことが円安の背景にある。リスクオンの局面では円だけでなくドルも売られやすいが、今回はむしろドルが買われた。米独の2年国債金利差の拡大にも見られるように、米国金利が相対的に上昇したことによるものだ。
ギリシャのユーロ離脱が回避され、信用リスクが縮小して、ユーロ圏諸国の金利が低下する一方で、FRB(米国連邦準備制度理事会)の9月利上げを肯定する地区連邦準備銀行総裁などの発言によって、米国の金利は上昇した。
ただ、景況感の改善による利上げ期待の高まりは大きくない。米経済指標が市場予想を下回るケースは減ったものの、過去3カ月間の経済指標が市場予想を上回るケースのほうが多くなっているわけではない。4~6月の米国経済指標は1~3月に比べて改善はしたものの、市場の想定内にとどまったものであり、日本やユーロ圏などに比べて米国指標のポジティブサプライズが強いわけでもない。
米国では、利上げ期待の高まりで実質金利(インフレ連動金利)が上昇する一方、期待インフレ率(BEI)は低下している。ドル高が期待インフレ率を押し下げるだけではなく、経済指標主導ではない実質金利上昇だからこそ、期待インフレ率が低下するのだろう。
完全雇用に近づくにつれてインフレ率が目標の2%に向けて上昇するとの見方は強い。だがFRBは、雇用さえ改善を続ければインフレ期待が低下していても、9月に利上げを開始するのだろうか。
9月なら金利上昇進む
市場の利上げ予想は当局者の予想に比べてかなり慎重だ。FF(フェデラルファンド)金利先物市場は9月利上げや年内二度の利上げを織り込んでいるわけではない。もし9月の利上げが現実のものになれば米国の金利上昇が進むはずである。
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