10月1日、中国人民元が国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)に組み入れられた。構成通貨である米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円と並んで、人民元は今後、国際的な存在感を高めていくだろう。
しかしSDR構成通貨には(1)財やサービスの貿易額が世界的に見て上位の国や地域の通貨であること、(2)自由に取引できる通貨であること、の二つの条件が課される。中国は(2)を満たしておらず、人民元のSDRへの組み入れは、見切り発車の感も否めない。中国は時間をかけながら資本規制の緩和を進め、人民元を「自由に取引できる通貨」へと近づけていくだろう。
現在、中国は資本規制や窓口指導などを通じ、資本流出を抑制しているとみられる。このため規制緩和の過程では、人民元安圧力の強まる公算が大きい。人民元相場の急落は、さらなる資本流出をもたらしかねず、金融引き締めにも似た効果を招いてしまう。中国は為替介入を行いながら、人民元相場急落を回避しようと努めるだろう。
だが逆に言えば、ペースさえ緩やかであるかぎり、中国が人民元安を容認する可能性は低くない。2014年以降、人民元は対ドルでほぼ横ばい圏で推移したが、その米ドルが利上げ観測を背景にほぼ全面高となり、人民元も幅広い通貨に対して上昇したからだ。昨年8月11日、対ドルで事実上の切り下げが実施されたが、輸出競争力を測るのに適している実質実効相場で見ると、いまだに人民元の高止まりが続いている(図表1)。
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円も有力な受け皿候補
人民元安が進むと、その他の通貨には、通貨高というシワ寄せが及ぶとみられる。しかし、英国と欧州連合(EU)との離脱交渉の内容次第で、英ポンドはSDR構成通貨の地位から陥落する可能性もゼロとはいえず、人民元安の受け皿とはなりにくい。ユーロもマイナス金利幅が0.4%と広く、敬遠されよう。
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