ドル円市場は10月28日、一時1ドル=105円台半ばに達し、今年7月以来の高水準を回復した(図表1)。ここ数週間のドル円上昇は1.米経済指標の改善を受けた米金利上昇、2.米大統領選挙におけるヒラリー氏の支持率上昇、3.原油高や中国経済指標の改善などを背景とするリスクセンチメントの改善があった。今後のドル円相場を考えるうえでは、こうした要因が引き続き焦点となろう。
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まず米経済指標の改善については、4〜6月期から7〜9月期にかけて明確な改善が見られた。実際、米国の経済成長率は4〜6月期の前期比年率+1.4%から、7〜9月期は同+2.9%まで加速している。内訳では在庫や純輸出が全体を押し上げる一方、個人消費の減速が目立つなど、強弱まだらの内容だ。
先行きについても、米経済指標の改善によるドル高余地は限定的となろう。12月はFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げが、かなり織り込まれているためだ。短期金利の代表的な指標であるFF金利先物市場は12月利上げの確率を10月28日時点ですでに7割程度織り込んでいる。一段と利上げ期待が高まる余地は限定的だろう。
次に、米大統領選においてはヒラリー氏の優勢度合いが強まっているようだ。ヒラリー氏の優勢はリリーフラリー(安堵感からくる相場の急反発)を通じてドル高円安を演出してきた。三度の討論会を経た時点で、主要世論調査におけるヒラリー氏の支持率はトランプ氏の支持率を7ポイント程度上回っていた。アイオワ大学電子市場が織り込むヒラリー氏の勝率(勝者全取り方式)も10月半ばには一時9割超まで高まった。しかし、その後は私用メール問題などから再びヒラリー氏の支持率が低下している。
最後に、世界のリスクセンチメントは原油高や中国経済指標の改善によって支えられてきた。ただ、原油価格は9月下旬の減産合意報道以降に騰勢が強まる中で10月半ばに1バレル=50ドル台前半まで上昇したものの、すでに頭打ち感が出てきている。11月の産油国会合でどこまで踏み込んだ合意ができるのか、実際にそういった合意が順守されるのかをめぐる不透明感が残るほか、米シェール企業のリグ数がなお低水準ながらも増加基調に転じていることが、原油価格の上昇を抑える要因となりうる。
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