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投資家はますます短期決戦に 経済は長期停滞の一方

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  • 重見 吉徳 Pモルガン・アセット・マネジメント チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト

東京証券取引所は6月1日から、上場企業に対してコーポーレートガバナンス・コードの適用を開始した。スチュワードシップ・コードとJPX日経インデックス400算出の開始に加え、同コードの適用開始により、日本企業のROE(株主資本利益率)は高まるとみられる。

よくいわれるように、ほかの先進国の企業に比べて日本企業は、景気循環にかかわらず、ROEが構造的に低い。外国人を含むアクティビスト(物言う株主)にしてみると、「ドアが開いておカネが落ちていれば、それを取りに行かない理由はない」だろう。

ガバナンス・コードの意味

日本企業全体を考えるとき、ROEを引き上げる方法は大きく分けて三つある。すなわち、売上高を国内市場の伸びよりも大きく伸ばすために海外市場を開拓するか、マージンを確保するためにM&Aやコスト削減を進めるか、資本の還元を進めるかだ。

しかし、世界的に労働力人口の伸びが鈍化し、資本蓄積が進んで投資の期待収益率が低下して、全体のパイの拡大が限定的な中では、これらはいずれも分配の問題にすぎない。しかも経済の停滞を長期化させるおそれがある。

海外市場の開拓は、たとえばこれを推進しているドイツにその認識があるかどうかはわからないが、世界的な需要低迷の中では重商主義の復活ともいえ、他国のパイ(企業利益や雇用)を奪うものだ。また、M&Aによる寡占やコスト削減は家計や労働者のパイ(雇用者報酬)を奪うものだ。そして、マクロ的な資本の還元はエクイティの供給を減らすものであり、株価は上がるとしても、それは株式市場の中での需給の話にすぎず、経済全体が豊かになることを意味しない。

ここで、日本が目指しているとみられる米国の状況を追ってみる。

図表1は、米国の労働分配率に加え、雇用者報酬と企業利益の伸びを見たものである。景気の浮き沈みにより、雇用者報酬と企業利益は変動を繰り返すことがわかる。加えて、1980年代ごろまでは、雇用者報酬の変動を上下覆うように、企業利益がより大きく変動していたことがわかる。これはリスク回避を選択した家計とリスクテイクを選択した投資家という関係性を踏まえると当然の帰結と思われる。

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