若者の投票率低迷に風穴を開ける能條桃子の正体 18歳選挙権導入で学校でも始まる「主権者教育」

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日本では平成以降、若者の投票率はずっと低迷している。だが、総務省によれば2021年の衆議院選挙では、18歳と19歳の投票率は43.01%と前回より2.52ポイント上昇。「政治に期待できない」と語る若者が多い中で、わずかだが反転の兆しがないわけではない。こうした中、若者の政治参加を促進しようとU30世代に向けて活動し、注目を集めているのが一般社団法人NO YOUTH NO JAPANだ。「わたしたちが生きていく社会は、わたしたちがつくっていくものだ。そう思える社会をつくりたい」という彼女たちの声は、なぜ若者に響くのか。若者の投票率低迷に風穴を開けるNO YOUTH NO JAPAN代表理事の能條桃子さんに話を聞いた。

若い世代の政治参加を促す「NO YOUTH NO JAPAN」

――NO YOUTH NO JAPANは一般社団法人として組織されていますが、どんな活動をされているのでしょうか。

政治や社会について知って考え、それぞれがスタンスを持ち、その決定プロセスに思いを持って声を届ける。私たちは、そんな参加型デモクラシーが実現できるよう、若い世代の政治参加の促進を目的に活動を行っています。具体的な活動としては、政治や社会を知る入り口として、Instagramでわかりやすく、ポップに、U30が知っておくべきトピックについて発信しています。

NO YOUTH NO JAPANのInstagramでは、さまざまな社会問題をわかりやすく伝えている

選挙のほかに社会課題なども取り上げており、2022年1月現在のフォロワー数は約8.4万人。昨年の衆議院選挙のときには50万人程度の方が見てくれましたので、今は40代以上のフォロワーも少なくありません。私自身は現在、慶応義塾大学大学院経済学研究科に在籍する大学院生であり、財政社会学を専攻するとともにハフポスト日本版U30社外編集委員なども務めています。

――能條さんがNO YOUTH NO JAPANを設立したきっかけは、何だったのでしょうか。

もともと日本の若い世代の投票率の低さに関心を持ったことがきっかけです。それを実感したのが、大学時代にデンマークに留学したときでした。デンマークの若者は、政治についてよく知っているし、根本の知識が日本の若者と違うことに驚いたのです。

日本の若者はニュースもあまり見ないし、選挙自体にも関心が薄い。その状況を何とか変えていきたい。そう思って、19年7月の参議院選挙のときにInstagramにアカウントを開設して活動を始めました。当初は、選挙期間中のキャンペーンとして2週間程度で終える予定だったのですが、最終的にフォロワー数が1.5万人になったことで活動を続けていきたいと思うようになりました。そこで20年7月に一般社団法人化することにしたのです。

――現在、フォロワー数は約8.4万人。活動が拡大したきっかけはどこにあるとお考えですか。

1つはコロナ禍の影響で、若い世代がニュースをよく見るようになり、政治にも関心を持つようになったことが大きな要因だと思います。また、黒人差別への抗議デモ「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」の拡大によって、私たちのInstagramを著名な方々がシェアしてくれたことで知ってくれる人たちが増えたことも大きいですね。

もう1つは、21年10月の衆議院選が大きく注目されたことで活動がさらに拡大することになりました。実際、どこまで私たちの活動が寄与しているかはわかりませんが、10代の投票率は上昇することになりました。過去と比べてSNSによる選挙キャンペーンが増加し、関連コンテンツも充実してきたことで、若い人に情報が届くようになっていると感じています。さらに、環境問題やジェンダー平等など、若い世代の政治的関心が高まっていることも大きいとみています。

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