ワークマンの加盟店は「夫婦で経営が条件」のなぜ フランチャイズに求める、稼ぐ力より重要なこと

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ワークマンでは自動発注システムの開発にも力を入れている。これまで店舗では、どの商品をどのくらい仕入れるかに頭を悩まし、店長たちがかなりの時間を割いてきていた。しかし、このシステムを使えば、一括発注ボタンを押すだけで店舗に必要な商品が必要なだけ納品される。

店舗ごと、商品ごとに、直近の月販から需要を予測して、理想の在庫量を計算して店舗への納品数を決める仕組みとなっている。

直近の販売動向にもとづいて、システムが自動的に適正在庫を維持させるので、店長の仕事量を減らすだけでなく、売り上げ向上にもつながる。事実、このシステムを導入すると、店舗の売り上げは未導入店より4~5%増えるというエビデンスも出ている。4~5%というのは大きな数字だ。売り上げ1億円の店なら500万円になる。

だが、このシステムはまだ全店導入はしていない。地域などによっても売れ筋の商品が変わることがあるので、システムを導入した店舗としていない店舗を比較しながら、さらに精度を高めようとしているからだ。

開発に8年かけていてもまだ全店導入していない

最初に開発された段階でも効果の大きさは確認できていたが、現在は第3次開発に進んでいる。ここまで開発には8年ほどの時間をかけていて、かなりの水準のシステムになっている。それでいながらまだ全店導入していないというのも通常の会社では考えにくいのではないだろうか。それをやるのがワークマンである。

どうして妥協しないのかといえば、加盟店にとって確実に役立つものにしたいからだ。これまで店長たちは仕入れのために2時間といったレベルの時間をかけている場合が多かった。この2時間をなんとしてでもなくしたかった。そのうえでいかに売り上げを高めるかを考えている。店長たちには「働く時間を短くしたうえで稼いでほしい」。その実現のためにこの開発を続けているのだ。

自動発注システムについては第3次開発で完成形にできるのではないかという手応えがつかめているが、完成までの期限は設定していない。期限があればできないことでも、期限がなければ実現できる。

きれいごとに聞こえるかもしれないし、すべてをきれいごとで進めようとしても、うまくいくものではないにはちがいない。それでもやはり、きれいごとこそ、やっていかなければならないと私は信じている。

加盟店と共存共栄していくためにもいっさいの妥協はしない。

現社長の小濱英之(2019年4月1日に代表取締役社長に就任)も「加盟店の困っているところを探す」ということを大事にしている人であり、そういう姿勢がワークマンという会社の中にはDNAとして受け継がれている。

社内の誰もが“加盟店にとってのマイナスをなくして、プラスにするためにはどうすればいいか”という部分に目を向けているのである。

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