こんまり夫が「市長になる夢」諦め目指す高み 猛烈営業マンから妻のプロデューサーに転身

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「ある取材の際についでに撮ってもらった」という川原卓巳さんと近藤麻理恵さん夫婦の2ショット(写真:川原さん提供)

「自分が大人を眺めたときに、ああいうふうになりたいと思える人がいない。それって変じゃない? 僕は、それを変えられる人になりたい。だから、東京の大学に行って、将来、市長になる」

2002年、広島県呉市の高校3年生だった川原卓巳は、両親にそう訴えた。川原は、当時の心境をこう振り返る。

「このまま地元にいたら多分、僕の人生は大きな変化がないまま終わると思ったんですよね。高卒で働くというと、当時の広島なら自動車メーカーのマツダに行けたら安泰で、それ以外だと運送業か土建業に就くか。僕の父親は自衛官だったから、それが嫌なら自衛隊に行けという雰囲気でした。でも、どれもピンとこない。生き方の選択肢が少ない、子どもが憧れる大人が周りにいないという現実はおかしいし、東京に行けばなにか違う世界があるかもしれないと思ったんです」

広島の呉市から世界へ

若々しい青年の主張をしてから19年経った今、川原はアメリカのロサンゼルスで暮らす。ここ数年、「片付け」で世界を席巻している“こんまり”こと近藤麻理恵さんの夫、そして“こんまり”をグローバルでブレイクさせたプロデューサーとして、慌ただしい日々を送っているのだ。

約2億人の会員数を誇る世界最大の動画配信サービスNetflixで製作された「KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~」は、2019年にNetflixで最も視聴されたドキュメンタリー番組となった。川原は、この番組にもエグゼクティブプロデューサーとして名を連ねる。

Netflix「KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~」撮影中にスタッフと(写真:川原さん提供)

さらに現在、こんまりメソッドの講習を受け、片付けのプロとして活動するコンサルタントは世界60カ国、650人まで増えた。なかには月に50件の依頼を抱え、会社を作った売れっ子もいるという。この仕組みを構築したのも、川原だ。

市長にはならなかったが、18歳の頃に抱いた夢も忘れていない。魅力的に生きる大人を増やし、子どもたちに生き方の多様性を示すために、プロデューサーとして日本で新たなプロジェクトを始めようと動き出している。その第一歩として、昨年12月には初の書籍『Be Yourself 自分らしく輝いて人生を変える教科書』を出版した。

何者でもなかった広島の若者が、どのようにして階段を駆け上がっていったのか。その原点を知るために、川原の足跡をたどろう。

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