個人向けパソコン需要が急増中
現在、コンシューマー向けパソコン市場が活況だ。コロナ禍でリモートワークが推奨され、とくに中堅・中小規模の企業では、個人所有のデバイスを活用するBYOD(Bring Your Own Device)が導入されるケースが増えたからだ。
何もこのパソコン需要はビジネス利用に限った話ではない。これまで家庭では1台のパソコンを親子で共有するケースも多かったが、塾を含めたオンライン授業のニーズにより、デバイスの買い足しも増えているという。GIGAスクール構想では、小中学生には1人1台のデバイスが支給される予定だが、高校生となると現状では基本はBYODになる。また、ビックカメラの森山幹生氏によれば「教職員の方がパソコン選びをされていることも多く、店頭では今後のICT教育を見据えて、どのようなパソコンが適しているかご相談を受けることも多くなっています」という。
実はあまり知られていないのだが、ビックカメラでは、IR(投資家向け広報)やCSR(企業の社会的責任)の観点から、教育現場のICT化に強い関心を持ちサポートを行っている。例えば、小学生を対象にプログラミングイベントを行い、そのノウハウを現場の先生方にフィードバックするイベントなどを企画している。自身も小学生の子どもを持ち、教育現場の実情をリサーチしながらサポートに力を入れる森山氏。バイヤーとしての確かな目と教育現場への関心の高い森山氏だからこそのパソコン選びのポイントは次のとおりだ。
オンライン授業を考慮したパソコンサイズは?
まずは、パソコンのタイプだが、現在はノートパソコンが主流となる。以前はスペック的にデスクトップパソコンと開きがあったが、現在はノートパソコンでも高性能なスペックで価格帯も手頃なものが多い。タブレットも考えられるが、今後キーボード入力ができないと受験などにも影響するため、キーボードはあったほうがよいと森山氏は判断する。
「サイズは利用される方の好みと用途によって変わりますが、日本で根強い人気なのがA4サイズの15.6型です。このサイズはキーボードにテンキーも付いており、また、周辺機器をつなぐ拡張ポート数も多いため、デスクトップの操作性と変わらずに使いたいというニーズに適しています。もちろん持ち運びはできますが、つねに持ち運ぶにはもう少し軽量化されたもののほうが適しているでしょう」
一般的なかばんに収納できるギリギリまで大画面にした16.0 型も、コロナ禍で注目を集めているそうだ。オンライン授業の場合、画面に生徒の顔を表示させたい。その場合、ディスプレイのサイズは大きいほうがいい。複数のアプリケーションを表示させる場合にも見やすいため、森山氏はおすすめ機種の中にこのサイズも入れている。
持ち運びを重視するなら、13インチ以下のサブノートだ。「持ち運びというと外出時を考える人が多いですが、実は、家の中で部屋を移動して作業することが多い場合は、コンパクトで軽いパソコンに軍配が上がる」という。画面サイズが小さいとオンライン授業などで生徒の顔が映しきれない問題もあるが、大型ディスプレイを別途購入するという手もある。
「パソコン自体はサブノートサイズで持ち運びを重視し、自宅に戻った際に大型ディスプレイにつなげる。最近では周辺機器とパソコンを簡単につなぐドッキングステーションの購入も増えています」
このほか、タブレットのようにディスプレイ部分を回転させられる2 in 1タイプのパソコンも、子どもたちに説明する際には便利だ。どの点を重視するかはそれぞれの好みや利用シーンなどを考慮してほしい。
コロナ禍で新機能も続出
また、コロナ禍以来、これまでとは違った観点での機能が注目されているそうだ。その1つは音声だ。オンラインで授業や会議をする場合、思った以上に生活音が邪魔になる。部屋の外の救急車のサイレンが邪魔になったり、家族が立てた物音がびっくりするほど大きく聞こえたりするのは、オンラインでの「あるある」だろう。そのため、メーカーによっては、ノイズを減らす機能を強化したモデルを投入している。
一方、キーボードにも新たな工夫が加わっている。オンラインで通話しながら、キーボードを打つシーンが増えていることから、静音性の高いものやスピードが速く打てるメカニカルキーボードにも注目が集まる。一方、今のご時世を反映する「抗菌性」をうたったものも登場し人気があるという。
「もう1つ、変わり種としては、物理的に内蔵カメラをボタン1つでシャットダウンする機種も出てきました。“知らない間に部屋の中や普段着の自分が映っていて恥ずかしい思いをした”といった失敗を防げることから評判も上々です」
ハイスペックパソコンのほうが結局はお得?
ではスペックはというと、森山氏は「性能が高いものを選んだほうがいい」と断言する。というのも、これからのICT授業では、オンライン授業などの需要が高い。その場合、パソコンの処理性能が低いと途中で止まってしまうなど不具合が起きやすいからだ。
「動画の閲覧やオンラインでのコミュニケーションを考えるとやはり一定以上のスペックがあったほうが安心です。CPUとしてはCore i5以上、メモリ8GB、記憶媒体はHDDではなくSSD 256GB以上。このあたりのスペックであれば、内蔵カメラの性能やバッテリーの持ち時間も問題がない」と説明する。
ただし、これは授業を受ける側を考慮したスペックだそうだ。先生などホスト側を請け負うマシンとなると、可能ならばもう少しハイスペックを勧めるという。
「例えば、インテル Evoプラットフォームは、ノートパソコンに特化した現在高性能のスペックと拡張機能を持っています。確かに価格は上がりますが、次世代規格が盛り込まれているぶん、数年経っても陳腐化はしないはずです。中途半端なスペックのパソコンを購入するよりも、長い期間快適に利用できるため、結果的にコストパフォーマンスは高くなります」
Evoプラットフォームは、最新の第11世代プロセッサーを採用しており、写真と動画の編集スピードが3倍。起動も即時でバッテリーも9時間以上の長時間を誇る。通信規格も最新のWi-Fi6のためこれからの動画時代に安心だ。
「リモートワークが増えたことで昼間の通信量が増え遅延が起こりやすくなっています。同時接続でも遅延が生じにくいWi-Fi6は今後間違いなく普及していくはずです。ここ数年高性能のスマホやタブレットが普及したために、パソコン離れがいわれていました。それがここに来てパソコンの需要が高まりました。個人的に強く思っているのは、ここでパソコンが使いづらいものだと思ってほしくないんですね。さまざまなことができるパソコンですから、快適さを保証できるスペックのものを選んで楽しんでいただきたい。例えばEvoプラットフォームはその名のとおり、これから周辺機器と連携しながら、パソコンをプラットフォームに変えていくはずです」
ハイスペックながらお手頃価格の機種など、森山氏が厳選してセレクトした今おすすめのノートパソコン7機種を記事中に紹介した。ぜひ、パソコン購入を検討されている方は参考にしてほしい。
(注記のない写真はiStock)