「職業」で人の明暗はなぜこんなに分かれるか 消える仕事・残る仕事を決定づける複合的要因

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パンデミックやAI、脱炭素など、雇用を取り囲む環境は激変している。仕事選びで「勝ち組」になるか、「負け組」になるか。その差はあまりに大きい(写真:zaksmile / PIXTA)

新規株式上場(IPO)の勢いが止まらない。

2020年12月は何と駆け込みで26社。家電のバルミューダや資産運用のウェルスナビ、保育のポピンズなど、そこそこ知名度を持った銘柄も多い。新型コロナウイルスが襲った2020年だが、終わってみると、実に93社が上場を果たした。今年も100社程度は上場すると見られ、半導体のキオクシア(旧東芝メモリ)、クラウドファンディングのCAMPFIREなどが上場準備に入ったと見られる。

早ければ設立後2~3年の上場も今やざらにある。IPOは現代の一攫千金の物語となった。一般的に創業者は、上場で持ち株の5~10%を売却するとされ、時価総額が100億円なら、最低5億円のキャッシュが手に入る。上場しなくても、その前段階で投資ファンドや大企業のCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)に買収をもちかけられ、持ち株を全部売ることも珍しくない。そうなると現金で数十億、下手をすると100億円が手に入る。起業家に憧れる学生が後を絶たないのもわかる。

だが一方で、コロナ禍による暗いニュースが連日流れている。解雇・雇い止めされたのは、現時点で8万人超。実際には政府による雇用調整助成金の特例措置のおかげで、会社は従業員に支払う休業手当について、1人当たり1日最大1万5000円を支給してもらっている。この”肩代わり”がなかったら、もっと失業者は飛躍的に増えていたのも本当である。

『週刊東洋経済』1月25日発売号は「1億人の職業地図」を特集。コロナなどのパンデミック(世界的大流行)だけでなく、AI(人口知能)や脱炭素など、これから起こるであろうさまざまな構造変化を基に、各職業の明暗を大胆に予想。2030年に「消える仕事」「残る仕事」として全36業種を取り上げた。

時短協力金で得する店、損する店

今、最もコロナの被害に遭っているのが、飲食店だろう。

『週刊東洋経済』1月30日号(1月25日月曜発売)の特集は「1億人の職業地図」です。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。

1月8日の緊急事態宣言によって、全国11都府県で20時までの時短営業を余儀なくされた。東京都は時短要請に応じる店に対し、1店舗1日6万円、31日間で計186万円の時短協力金を支給する。当初は中小・零細に限定していたものの、大手全国チェーンの外食企業からの猛反発を受け、大企業にも対象を拡大するはめになった。それでも、夜どころかランチでの会食の自粛もお願いする政府に対し、「ふざけんなよ」(堀埜一成・サイゼリヤ社長)と言いたいのが偽らざる気持ちだろう。

実はこの時短協力金にもいろいろな意見がある。特に零細店には、むしろ時短や休業のほうが「おいしい」のではないか、という声だ。

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