皆が活躍できる社会へ「MASHING UP」開催 メディアジーン
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「Bravery & Empathy - 勇気と共感」のテーマのもとに、「消える仕事、残る仕事」「女性とメディア」「多様化する企業文化を無関心層にリーチさせるには」「ブロックチェーン革命:次世代ビジネスの在り方」「挫折なんてあたりまえ。起業は幸せな冒険!」など、さまざまな切り口で行われた魅力的なセッション。インタラクティブなセッションを目指し、それぞれスピーカーに直接質問できる時間が設けられた。またセッション以外にも1対1でキャリアや生き方についてメンターに相談できる「メンタリング」を目的としたブースも設けられ、それぞれのブースで、熱心なやりとりが繰り広げられていた。
ここでは、星野リゾート代表・星野佳路氏×株式会社サムライのマネージャー・佐藤悦子氏による「日本発ブランドを作りあげるためのビジョン、そして戦略」のセッションの一部を抜粋してご紹介したい。
星野リゾートといえば、すでにさまざまな国籍の人材を積極的に採用し、海外進出も果たしている。その躍進の陰には、人材の多様性のほかにも、働き方や仕組みづくりがあるのかもしれない。
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星野:私は、雪あり月と雪なし月というスケジュールを組んでいます。雪あり月、つまり雪がある月には、雪のある場所で仕事をするようにしています。私はスキーが好きなのですが、死を前にしたとき、最後に後悔することは何かと考えてみたのですね。私の考えた答えは「もっとスキーを滑っておけばよかった」と思うのではないかというものでした。仕事は、キリがないものなので、後悔はありません。ですから、今は年間80日間ほどをスキーのために確保し、雪あり月では、雪のないところには出張しません(笑)。
佐藤:(笑)。その間、コミュニケーションはどうされるのですか?
星野:基本的にテレビ会議で参加すれば、どこにいようと変わりません。例えばニュージーランドにいても、仕事をしながらスキーをし、スキーをしながら仕事をします。
佐藤:オンとオフの切り替えはどうされていますか?
星野:切り替えないことによって、オンもオフも充実します。オンとオフを明確に決めないことで、午後に急にふぶいたからと仕事ができたりもします。
佐藤:星野リゾートはスタッフのクオリティーがすばらしいですが、そうした星野さんの充実した仕事に対しての姿勢が浸透しているからでしょうか?
星野:そうではないと思っています。スキーに傾注しているのに内部では批判的な意見もあります(笑)。むしろ私の経営は、経営を勉強していたとき出会ったケン・ブランチャード理論を手本とした教科書通りの経営なんです。
佐藤:具体的には、どういった経営なのでしょうか?
星野:経営者が現場のことがわからないのは当然ですから、現場をわかっていない人に決定権が集中しないことは大事です。フラットであること。議論する場を整備するのも仕事です。会議で言いたい人に言いたいことを言うのは難しいものですが、それをやるために「偉い人」をなくし、当社の管理職である支配人でも、オフィスもデスクもなく、さんづけで呼ばれます。写真で並ぶ順序なども決まっていません。そうしたケン・ブランチャード理論を実践することで、最前線にいるスタッフにもそれぞれ責任があると感じてもらえる状態を作ります。フラットであるということは、任せるという概念もなく、トップダウンでもボトムアップでもないのです。
佐藤:現場の意見を聞いて変えることもあるわけですね。
星野:経営者にとっては、フラットであることは慣れると楽なのです。スタッフが経営者の言うことを聞いてしまうと、経営者は自分で正しいか精査しないといけません。本当にそのやり方が良いのかどうかも確認したいし、逆にそのとおりやられては困る。やるなら、自分で責任をとってもらいたい。
そして、日本のホテル業界が世界に出ていくためには、日本オリジナルのスタイル「日本旅館」で出て行くことが成功への道筋ではないか、など今後の展望も語り、会場は大いに盛り上がった。
このように、従来のスタイルにとらわれず、時代をリードするスピーカーたちの生の声を存分に聞き、その情熱やキャラクターにまで触れることができた、「MASHING UP」。登壇者たちの熱を感じて刺激を受けられることも大きい。
普段出会うことのない人たちとつながりやすくすることも、イベントの仕掛けにあり、会場内では、そこかしこで新たなケミストリーが生まれていた。ネットワーキングイベントにはさまざまあるが、通りすがったスピーカーに話しかけやすい雰囲気が「MASHING UP」にはあるように感じた。3回目の開催も、期待したい。
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