「新ハイライフ」は、地球モチーフのスケルトン フレデリック・コンスタント
伝統的な時計作りを徹底
ディテールにクラシカルな意匠があしらわれ、老舗ブランドのような雰囲気を持っているフレデリック・コンスタント。創業は1988年と、100年を超える歴史を持つブランドが数多く存在するスイスでは、比較的新しいブランドだ。
しかし、老舗ブランドに引けを取らない伝統的な時計作りを徹底的におこなっているため、デザインのみならず、メカも仕上げも最上の仕上がりを見せる。それも当然で、デザインから組立、品質管理まで、すべての工程を自社で行うマニュファクチュールでもある。
3針、クロノグラフから複雑機構まで、豊富なラインナップを揃えられるのもマニュファクチュールならでは。「手の届くラグジュアリー」をブランド理念とするフレデリック・コンスタントの製品が比較的リーズナブルな価格に設定されているのも、自社でコントロールが効くから、と考えれば納得できるだろう。
そんなクラシカルな意匠のモデルが多いフレデリック・コンスタントにあって、モダンデザインの新作を紹介したい。「ハイライフ オートマチック スケルトン」がそれである。
そこには、ギョーシェ彫りもローマンインデックスもブレゲ針もない。ドレスウォッチの印象が強いフレデリック・コンスタントだが、このモデルはスポーティさが際立つ。バーインデックスにペンシル針、ケースはラウンドでもレクタンギュラーでもない。レザーストラップよりもブレスレット、もしくは、ラバーストラップがよく似合う。
そして、なによりもダイヤルがスケルトンであることが、一番の特徴となっている。とくに印象的なのが、ダイヤルのセンターに描かれる、ハイライフ コレクション共通のモチーフ・地球だ。これは球=調和というメッセージが込められており、現代では環境保護の象徴でもある。なので、スケルトンのカッティングラインも、その想いを込めてか柔らかな曲線で仕上げられている。
あのハートビートから四半世紀
フレデリック・コンスタントが世界で初めて開発したダイヤル側からテンプを見せる、あのハートビートから27年。新しいモデルでは、テンプはもちろん、リューズ機構、香箱まで表面から見られるようになった。また新たな技術を見せ、ラインナップの幅が広がったようである。
さらに、ストラップがケースに組み込まれた形になっていて、ケースから続くデザインに一体感が生まれている。ブレスレットを装着した時、それは顕著である。常に実用性を重視するフレデリック・コンスタントなので、当然、装着感は向上している。
しかも、このモデルにはインターチェンジャブル仕様が採用されている。これはストラップを簡単に交換できるシステム。このモデルの場合、ケースの裏側に2つのプッシュボタンがあり、それをプレスするだけで簡単に外れ、その部分を合わせてカチッとはめ込むだけで、ブレスレットからラバーストラップへの交換が完了する。実際に試してみたが、ここ数年増えてきた同システムの中でもトップクラスの使いやすさだった。
この「ハイライフ オートマチック スケルトン」には、2つのモデルが用意されている。ひとつはステンレスケース&ブレスレットにブルーのインナーリングを組み合わせたもの。もう一方は、チタンPVDコーティングが施されたダークグレーの1本。インナーリングもダークグレーなので、全体的にワントーンでまとめられている。
どちらもラバーストラップが付属していて、世界限定888本である。
フレデリック・コンスタントは、モダンデザインをも進化させ、また新しいタイムピースを創り出したようだ。
Text by Ryoji Fukutome