フェラーリ カリフォルニアTを、軟派なオープンカーだと思うのは早合点だ。「HS:ハンドリング・スペチアーレ」のオプションを装着し、峠仕様へと生まれ変わった跳ね馬に大谷達也が試乗した。
モデル名の末尾につけられた“HS”の正体
箱根の朝は、まだ冬の色が濃かった。ピンと張り詰めた空気を大きく吸い込むと、鼻の奥がツンと痛む。普段であれば車内に飛び込んで窓を閉め切り、背中を丸めてヒーターを全開にしたくなるところだが、この日はセンターコンソール上のスイッチを操作して金属製のリトタクタブルルーフを開け放った。そうすることが、このクルマには相応しいと思ったからだ。私のかたわらに佇む美しいスポーツカー、フェラーリ・カリフォルニアT HSは、そんな不思議な力を宿していた。
カリフォルニアTは、現フェラーリのラインナップではエントリーモデルに位置する。フロントに搭載された最高出力560ps/7500rpm、最大トルク755Nm/4750rpmのV8 3.9リッター・ターボエンジンは7段デュアルクラッチ式ギアボックスを介して後輪を駆動するが、フロントエンジンにもかかわらず重量配分はF:R=47:53とややリアヘビーで、スポーツカーとして理想に近いバランスを得ている。
モデル名の末尾につけられた“HS”は、オプションの「ハンドリング・スペチアーレ」を装着していることを意味する。端的にいえばクルージングよりもワインディングロードを得意とする足回りが与えられている“証”だ。

