防衛費の膨張が続いている。岸田文雄政権に始まる増額は、2026年度で4年目を迎えた。高市早苗政権が編成を進める27年度防衛予算案は、現時点で約9兆円。だが最終的には10兆円に達するとの見通しもある。従来の5兆円規模からすれば2倍の金額だ。
その悪影響は大きい。何よりも軍事支出は経済を毀損する。本来なら教育や設備投資にも使われる資金を、防衛費で費やす形となるからだ。
これは経済を弱めるだけではない。防衛力を支える経済基盤を切り崩す行為でもある。しかも、その害は将来にも及ぶ。防衛費増額にはその後の削減を難しくする効果があるためだ。
後年度負担の支払いが増加する。兵器調達の進捗により、その維持費を増やす。そして、何よりも防衛費縮小に反対する防衛産業の政治力をも増大させる問題が出てくる。
軍事支出を拡大すれば経済は不調に陥る
防衛費を増やすと社会は豊かになるのだろうか。それはありえない。豊かな経済と軍事支出は相反するからだ。本質的に経済を圧迫する存在である。
資本主義経済でも圧迫は変わらない。「軍事支出による経済破綻は旧ソ連圏の問題」との認識はあるだろう。ただ、西側にもその傾向はあった。
これは1984年にアメリカ議会・下院が作成した図表である「デグラッセ・チャート」が明らかにしている。軍事支出と経済成長率には負の相関関係があることを示している。
日本は、この軍事支出の拡大を経済不調の状況下で実施している。しかも高市政権は成長戦略分野に位置づける見当違いを行っている。日本の没落を加速する選択でしかない。
ただちに手を打たなければならない状態だ。対中国軍事力とならない陸上自衛隊を縮小する。失敗作間違いなしの新戦闘機GCAP(日本、イギリス、イタリアの3カ国が共同開発しているグローバル戦闘航空プログラム)から手を引く。何よりも、中国との緊張を緩和すべきだ。それにより国民経済を立て直さなければならない。
しかし、その実現は与党が交代しても難しい。一度増やした防衛費の縮小には困難を伴うからだ。
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