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「答えを速く出す力」の価値は、急速に下がっている
京都には、120種類以上ともいわれる苔に覆われた庭で知られる西芳寺、通称「苔寺」があります。
西芳寺の苔庭は、最初から短期間でつくられたものではありません。幾度もの川の氾濫によって庭が荒廃するなか、苔の繁茂が進み、長い時間を経て現在の景観が形づくられました。
あの庭だけが持つ時間の厚みは、効率やスピードだけでは生み出せないものです。
地頭力も、まったく同じです。
問いを立て、考え、自分の言葉で表現する力は、試験直前の数カ月で詰め込んで身につくものではありません。日々の授業や対話、探究のなかで、少しずつ、そして着実に「苔むして」いく力です。
AIが「もっともらしい答え」を数秒で出してくれる時代になったいま、「答えを速く出す力」の価値は、急速に下がっています。
代わりに問われ始めているのは、すぐには答えの出ない問いを抱え続け、自分の頭で考え抜く力です。
こうしたタイパ至上主義からの揺り戻しは、すでに大学入試にも表れています。知識だけでなく、思考力・判断力・表現力を問う問題が重視されるようになっているのです。
その象徴のひとつが、京都大学の入試問題です。
パターンを当てはめるだけでは解けない発想力と、自分の思考を正確に伝える記述力が求められます。



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