観光の世界には、「人を集めるには、まず女性を集める」という考え方があります。
では、女性たちの心を動かすには、何が有効だったのか。
私は、「母性本能を癒やすもの」ではないかと考えたのです。
当時は、女性が仕事と子育てを両立するための社会的な環境が、あまり整っていませんでした。第一線で仕事を続けるために、子どもを持つことを諦める女性も多かったのです。
私自身も、その一人でした。
仕事に打ち込む一方で、心のどこかに、満たされない感覚がある。その感覚を、私は「母性本能を持て余す」と表現しました。
そして、「ひこにゃん」の、ゆるくてかわいい姿に、その心を動かす力があると感じたのです。
そこで私は、プレスリリースのタイトルを、「ひこにゃんと楽しむ、2007年彦根の旅」とし、本来なら主役であるはずの彦根城よりも、「ひこにゃん」を大きく打ち出した写真を使って、キャラクターを主役に据えました。
さらに、当時の東京のマスコミで活躍していた女性記者や女性テレビディレクターに注目し、「ひこにゃん」を主役に据えたプレスツアーへの参加を働きかけました。
結果は、大きな反響につながりました。
新聞やテレビでは、「彦根城にかわいいキャラクターがいる」といった報道が相次ぎました。
かわいい「ひこにゃん」の姿がメディアを通じて広がり、多くの人が彦根城を訪れるようになったのです。
そして、キャラクターをきっかけに訪れた人々は、彦根城そのものの魅力にも触れることになりました。
まさに、「一引き、二運、三器量」の考え方を生かしたPR戦略だったのです。
さっそく企業PRに活用してみよう
この考え方は、中小企業のPRにも応用できます。
大切なのは、いきなり手法を選ぶのではなく、次の3つを順番に考えることです。
「ひこにゃん」の場合は、イベントの来場者を増やすことでした。
「ひこにゃん」の場合は、若い女性でした。
「ひこにゃん」の場合は、女性記者や女性テレビディレクターを対象としたプレスツアーの手法を選びました。
このように、PRが上手な企業とは、特別な手法を知っている企業ではありません。
自社の価値を誰に届ければよいのかを考え、その人に届く方法を選べる企業なのです。


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