関東財務局の公表資料によると、対象となる土地は約1451㎡。2023年3月、国有財産関東地方審議会は、特別養護老人ホームとデイサービスの敷地として、渋谷区が公募で選定する事業者に貸し付ける方針を適当と認めた。貸し付け方式は、期間50年の一般定期借地。当初10年間は減額貸し付けとし、その後の40年間は時価で貸し付ける条件だ。
その後、2025年2月に社会福祉法人正吉福祉会との貸し付け契約が結ばれ、いまは2027年11月の開設に向けて建設が進んでいる。
土地の条件や交渉の経緯が異なるため、単純に比較はできないが、同じ区内で整備が進む事例があるだけに、なぜ旧千駄ヶ谷住宅跡地の活用が進まないのかという疑問が残る。
「納得いく理由」はまだ聞いていない
2013年に南新宿まちづくり検討会が発足して以来、地域住民が跡地に求めるものは今も変わっていない。子育てや高齢者福祉を支える拠点として、跡地を活用してほしいと願い続けているという。
「実質的に管理する人がいない状態が続くのは危ないですし、良くありません。それに、跡地に施設ができれば周辺の商店街が活気づき、新たな人の流れや経済圏が生まれると思います。ただ、あの土地を寝かしておく理由があるなら仕方がないとも思うので、納得できる理由を知りたいですね」
冒頭でも触れた通り、現現地を歩くと、自転車やバイク等のゴミが不法投棄されたり、道端にネズミの死骸が転がっていたり、動物の糞便らしきものが確認できるなど、きちんと管理されているとは言い難い状況。長きにわたって有効活用するため、留保財産になっているとはいえ、10年以上経過しても大きな動きはないのはどうなのか……。
ではなぜ、旧千駄ヶ谷住宅跡地の活用は進まないのか。話し合いを重ねても状況が変わらないなか、地域住民は何を感じ、国や渋谷区に何を求めているのか。
次回は、要望を出し続けてきた地域住民に話を聞く。


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