ごちスパで特にこだわったポイントは2つ。
1つが〆の「〆のチーズリゾット」だ。
麺を食べ終わった後、スープが余る。多くのスープパスタ店では、スープにごはんを投入し、リゾットにする食べ方を提案している。ラーメン屋でもよくある「追い飯」だ。
ごちスパでも「〆のチーズリゾット」300円を用意しており、「ぜひ食べてほしい」とおすすめされたので、麺はあえて控え目の小にして、それを追加した。
通常は、ごはんが別添えで提供される。が、ごちスパの追いリゾットはひと味違う。余ったスープの皿をスタッフが一度下げ、厨房でリゾットとして調理して再提供される。
お皿も新しいものに盛り付けて提供される。ちょっとしたレストランのようなサービスに驚いた。
野尻氏いわく、「多くのスープパスタ店の追いリゾットは、炊いて置いたごはんを別皿で出している。しかし、食べ終わりにはスープも冷めており、そこにごはんを入れてもチーズが溶け切らずに中途半端な味わいになってしまう」。
確かに、筆者も思い当たる節がある。
これまで他店のスープパスタで「追い飯」を頼んだ際、冷めかけたスープに冷たいご飯を投入し、どこか不完全燃焼感を覚えた経験だ。スープと米が馴染まず、リゾットというよりは「ねこまんま」に近い状態になってしまうのである。
他店の多くは、100円程度の低価格または無料で別皿のご飯を提供する。コストも手間もかからない合理的なオペレーションだが、顧客体験としては「残ったスープを処理する作業」になりがちだ。
一方のごちスパが提示するのは、300円という追い飯としては強気の価格設定だ。しかしその実態は、一度皿を厨房へ下げ、小鍋でスープとご飯を煮込み直し、チーズを溶かして熱々の状態で「新しいお皿」に盛り直して再提供するスタイルである。
「追い飯」は計算された差別化戦略
ランチピーク時の混雑期には皿の下げ・再調理・再提供というオペレーション負荷がかかり、社内でも議論があったという。それでも野尻氏が譲らなかったのは、単なる「余りスープの処理」ではなく、「最後の一口まで満足度を最大化するレストラン体験」へ昇華させるための、計算された差別化戦略だったからだ。


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