結核もまた、肺を冒す感染症である。ウイルスではなく細菌が原因だが、感染者の咳やくしゃみから発生する空気中の小さな飛沫によっても広まる。
ほとんどの人は、結核に感染しても免疫システムによって効果的にコントロールできるため何も感じないが、病気の徴候がなくても結核の病原体は長期にわたって体内に留まること――いわゆる潜伏感染――ができるので、あとになってから、とくに免疫システムが弱っているときに発症するおそれがある。
たとえば、抗炎症薬を服用したりHIVに感染したりすると、結核の再活性化リスクが高まる*7。だが驚くべきことに、過体重または肥満が潜伏性結核の活性化リスクの低下に相関することを多くの研究が示している*8。
実のところ、その理由はわからない。まったくのパラドックスなのだ。肥満は2型糖尿病のリスク因子であり、2型糖尿病は活動性結核のリスク因子である。
肥満がプラスの影響を及ぼす例も
ならば、肥満は活動性結核のリスクを高めると考えるのが妥当だろう。
しかし、実際はその逆だ*9。これはつまりなんらかの理由で、糖尿病による結核への悪影響よりも肥満による結核への良い影響のほうが上回ることを意味する。たくさんのことが同時並行で起きているのである。
多種多様な病原体に対抗するには、多種多様な免疫反応が必要であることは周知の事実なのだから、肥満による免疫システムへの影響が多くの感染症で不利に働くからといって、すべての感染症で不利になるとは限らないのも当然ではある。
インフルエンザに対する免疫反応を阻害するものが、結核感染症に対する免疫反応にはプラスの影響を及ぼすこともありうるのだ*10。


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