別の可能性として、体脂肪がウイルスの潜伏場所になるからとも考えられるが、これを裏づける証拠は今のところほとんどない。
最も可能性が高そうなのは、肥満は免疫の健康に直接、影響するからこそ新型コロナウイルス感染症に対する免疫反応にも影響するというものだ。
太りすぎはどう影響するのか
太りすぎは、感染症に対する体の防御能力にどのように影響するのか。これには大きく2つの流れが考えられる。
1つ目は、脂肪細胞によって産生される分子が体内で慢性的に炎症を引き起こすせいで、ウイルス感染のような「真の脅威」に対する免疫システムの感受性が低下するというもの。
2つ目は、肥満または過体重の人の体内では、過剰な脂肪によって引き起こされる望ましくない慢性的な炎症を和らげるために、免疫システムを抑制しようと負のシグナル伝達分子が産生され、実際に感染して免疫反応が本当に必要となったとき、それらの存在が不利に働くというものだ。
この2つの流れが複合的に影響することで、一部の種類の感染症に対して免疫反応が弱まることになる*3。
2009年の春に世界中で新型インフルエンザウイルスが検出されたときも、肥満は入院、集中治療、死亡のリスクを高める要因となった*4。
新型コロナウイルス感染症とインフルエンザはどちらも肺を冒すが、じつは肥満も肺機能に影響する。そして、ここに答えの一端が見える。過剰な脂肪は肺の拡張を物理的に制限したり、気道を狭めたりする*5。そのため一般的に肥満の人は肺の状態が悪く、感染が起きたときも不利な状況にある。
しかし、この状態は不可逆的ではない。3000人以上を対象とした20年間にわたる研究によって、体重を減らせば肺の状態は改善されることが示されている*6。


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