さらに佐々木さんは「色」で香りをイメージしているという。
「苔のような青臭い香りは『濃い緑色』、ふわりと感じるムスクの香りは『白』、というように、香料を色で覚えています。バラの香りを作ろうと思ったら、花びらの『赤』や『ピンク』や、茎と葉の『緑』を入れて、少し淡くしようと思ったら『黄色』も混ぜる、みたいな。絵の具で絵を描くイメージで香りを作っていますね」
フレグランス室を見渡すと、自社製品以外にも香水や石鹸、洗剤などの「香るもの」がたくさん棚に並んでいる。香りのトレンドを押さえておくのも調香師の仕事のひとつだそうだ。
「商品企画に沿って香りを作ることもあれば、こちらから『こういう香りはどうですか?』と提案するケースもあるんです。他社製品はもちろん、日用品や食品などの香りには常にアンテナを張っています。最近は消費者ニーズに合わせて香りも多様化しているので、『これが流行っている』と言い切るのもなかなか難しい時代ですね」
「日本の名湯」シリーズは“温泉探索”して開発
佐々木さんは「日本の名湯」シリーズの開発にも携わっている。日本各地の温泉をモデルに作られた入浴剤で、1986年の発売以降、根強い人気を保つシリーズだ。
「日本の名湯」の開発では製剤や企画などの各担当者がチームを組み、実際に温泉地を訪れて調査を行っている。現地で温泉分析書を確認するほか、自ら温泉に入浴して湯ざわりや色、香りを体感するのだ。調査結果を踏まえ、温泉の含有成分のうち、入浴剤に使用可能な上位3つの成分を、本物の温泉に近い比率で配合しているという。


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