香りを評価するときは作った香りを粉剤に加工して、入浴剤と同じようにお湯に混ぜるのだという。佐々木さんは両手でお湯をすくい、鼻に近づけて香りを嗅いでいた。入浴中の顔と湯面の距離を再現するためだそう。
「いいものができたと思っても、お湯に入れてみたらそうでもない、ということは頻繁にあります。評価した結果を踏まえて、足りないものを補ったり、強すぎる要素を抑えたりと微調整を加えて再び評価する。その繰り返しです。完全にアナログな作業ですね」
ひとつの香りが完成するまで約半年。そのあいだ、50〜60回は調整を繰り返すそうだ。製剤の開発も含めると、ひとつの商品が世に出るまでは1年半ほど。長いものでは3年ほどかかるケースもあるという。
すべての香りに「意味」を持たせている
それにしても、何十種類も含まれている香り成分のなかから、「これが足りない」と指摘するなんて神業にしか思えない。佐々木さんはどうやってピンポイントに要素を嗅ぎ分けているのだろうか?
「すべての成分に意味を持たせているんです。この成分で甘さを前面に出そう、この成分で酸っぱさを少し匂わせよう、この成分で葉っぱの要素も含めよう……と、計算したうえで組み合わせている。なので、『葉っぱの要素を出すためにアレを入れたのに全然香ってこないな』と判別できるんですね」


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