どうしてここまで数が必要なのか。それには「お湯に入れた状態で香りを長続きさせる」という、入浴剤ならではの理由があった。
「香りの成分には、水に溶け込みやすいものや、お湯の熱で揮発しやすいものもあります。香りを長続きさせるには、それぞれの成分が時間とともにどう変化するかを考えながら、互いを補うようにバランスよく配合しなくてはなりません。そうすると、これくらいの数になるんです」
香料のバランスを間違えると、時間とともに他の香りに変化してしまうこともある。柚子の入浴剤を買ったはずなのに、お風呂に入れてしばらく経ったらリンゴの香りになっている、ということがあってはいけない。
時間が経って成分の出方に差が出ても、同じ香りとして感じられるように香りを構成しなくてはならないのだ。バスクリンなどは、同じ香りが2時間持続することを前提に設計しているという。
「製造コストなどを考えると、香料の数が少ないほうが本当は楽なんですよ。ただ、香料が少ないと香りに奥行きが出ませんし、他社に真似されるリスクもあります。まぁ実際は、あれも入れたい、これも入れたい……と、こだわるうちに自然と増えてしまうんですけどね(笑)」
ひとつの香りが完成するまで「50回」の微調整
試作した香りは、入浴剤として実際にお湯に入れてみないとどう香るのかわからない。そこで、次に向かったのは「入浴剤評価室」だ。中に入ると、風呂場に入ったのと同じモワッとした湿気に包まれる。
入浴剤評価室には同じ浴槽が8つ並んでいる。複数の浴槽に試作品を投入することでお湯に入れたときの色を見比べたり、炭酸系の入浴剤の発泡具合を比べたりできるわけだ。照明は昼白色や電球色が用意されており、家庭の風呂場での見え方を再現することができる。


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