佐々木さんに案内され、「フレグランス室」と書かれた扉を開けると、すぐに華やかな香りが鼻に飛び込んできた。
「この部屋には2000から3000種類の香料があります。酸っぱいとか、甘いとか、青臭いとか、そういった香りの要素となる成分がたくさんあると思ってください」
佐々木さんが作業するデスクには、高さ5センチメートルほどの小瓶たちがひな壇にびっしり並んでいた。まるで第九を歌う合唱団のよう。「よく使う香料を手の届くところに置いているんです」と佐々木さんは言う。
「ここにあるのは300種類くらいですね。並べ方は完全に個人の好みです。香りの種類で分類している人もいますが、私はアルファベット順に並べています」
「これがパインの香りでよく使われる合成香料です」と、佐々木さんが細長い紙の先端に香料をつけて渡してくれた。匂いを嗅いでみると、確かに甘いパインの香りがする。なるほど、パインの入浴剤を作るなら、もうこれで十分じゃないですか?
「いえいえ、入浴剤の香りは30から50種類、多いもので100種類ほどの香り成分を組み合わせて作るんですよ」
時間とともに変化する「香り」をどうキープするか
そう言って佐々木さんが見せてくれたのは、香りの配合を記した処方、言わば「レシピ」のサンプルだ。40種類以上の香料の名前が書き込まれ、それぞれ細かく分量が記されている。化学的に合成された香料もあれば、柚子やライムの精油といった自然由来の成分もあるという。


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