では、この夫婦が関係を立て直すとすれば、何から始めればいいのでしょうか。
私はまず、「実家への援助を続けるか、やめるのか」という二択から話を始めるべきではないと思います。その理由は、ゼロか100かの二者択一で話を進めてしまうと、相手は『実家を切り捨てるのか』と身構えてしまい、建設的な話し合いが難しくなるからです。必要なのは、5年間の家計を数字にすることです。
毎月4万円をあと5年間払えば、単純計算で240万円になります。その一方で、夫婦は子どもを2人望んでいる。出産や育休で収入が減る時期もあるでしょう。将来的には教育費も必要になります。住宅を購入するのであれば、その頭金なども準備しなければなりません。
つまり、「親だから払うのは当然」でも、「結婚したんだから親への援助はゼロ」でもありません。「自分たちの将来に必要なお金を確保したうえで、実家にいくらなら援助できるのか」を夫婦で決める必要があります。
場合によっては義理の両親にも、残っているローン額や返済期間、収入や資産状況を明らかにしてもらう必要があるでしょう。また、可能であればパートやアルバイトの時間を増やすなど、できるだけ自分たちで返済してもらう努力を求める必要があるかもしれません。
親への向き合い方は「いい夫」かを分けるポイントのひとつ
親を助けたい夫の気持ちは、決して悪いものではありません。むしろ、親思いの孝行息子とも言えるでしょう。
しかし結婚後は、親子関係だけではなく、夫婦という新しいチームで生活を営むことになります。
本書では、お財布を1つにする本当の意味を、単に口座を合体させることではなく、2人のお金の流れと目的を一緒に眺められる状態にすることだと説明しています。夫婦を「1つのチーム」として運営するという考え方です。
だからこのご夫婦に必要なのは、「親と私、どっちが大事なの?」と迫ることではありません。夫自身が、「親のローンを払う」という選択を、夫婦の将来設計の中に置き直すことです。
あと5年間、毎月4万円を払い続けるのか。金額を減らせないのか。両親自身にできることはないのか。その場合、自分たちは子どものために毎月いくら貯めるのか。そこまで数字にして初めて、夫婦としての話し合いになります。
妻の気持ちが夫から離れかけている今、関係修復は簡単ではないでしょう。それでも気持ちを取り戻したいと願うなら、夫がまずやるべきことは、妻を説得することではありません。
最優先すべきは、実家への仕送りも含めたお金の流れをすべて妻に開示し、「これからの自分たちの家庭をどう作っていくか」を本音で話し合うことです。今後自分の実家とどう適切に向き合い、折り合いをつけられるか。それらお金と今後のライフイベントに対して、妻の気持ちに寄り添えるか。その姿勢がカギとなるでしょう。


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