堀田:本当にそう。大学は、文学系の教員はもういらないという方向に流れていますが、僕は語学の教員採用には文学者を入れるべきだと言っているんです。彼らの知識は本当に広くて深い。それこそこれからの時代に必要な知性だと思います。
YouTubeで学べるのか?
堀田:『疲れ切った人のための勉強法』で書きましたが、短期的な「わかった気がする」感覚と、長期的な定着は必ずしも一致しません。例えば最近はYouTubeでいろんな解説動画が出ていますよね。視覚聴覚からの圧倒的な情報量があり、とてもわかりやすく作られていて、わかった気になりやすい。でも、負荷がかかっていないので定着する学びにはならないんですね。
インプットしたものを、自分の中で考えたり議論したりして、アウトプットまで持っていって初めて知識になります。インプットで終わらず、この3段階を自分で意識していくことが大事です。
とはいえ皆さん忙しいと思うので、僕が提案するのは「短く学んで、少し思い出す」を意識することです。例えば視聴した動画を見終わった後に、ポイントを3つ思い出すだけでも十分です。
西岡:同じような話で、今の参考書ってわかりやすすぎて学生がまったく苦労しないんです。重要なポイントにはあらかじめマーカーが引いてあって、難易度が高い問題にはヒントがあり、さらにQRコードで解説動画まで見られるようになっている。
でも昔は、ただ英文と日本語訳が書いてあるようなシンプルな英単語帳で学力が伸びていた。わからないことや必要なことを調べて書き込んで、自分が覚えやすいように工夫していたからです。ところが、今の参考書は懇切丁寧すぎて、生徒が工夫できる隙がないんです。
堀田:学力も記憶力も知恵も、筋肉のようなものですよね。無理させないと伸びない。学習も、AIに任せきりにして負荷がかからない状態では、ほとんど記憶に残らず、学んだことが自分のものにならないということが研究されています。
「AIだけで考えた人たち」、「AIの答えを参考にしつつ自分で考えた人たち」、「最初から最後まで自分で考えた人たち」の3グループに分けたところ、本人の記憶や学習定着度を見ると「最初から最後まで自分で考えた人たち」が最も高く、「AIだけで考えた人たち」が最下位でした。負荷がないのだから当たり前の結果です。


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