西岡:僕も、「自分で読む、考える、理解する」というプロセスが欠落した学習では頭が良くならないと書きました。今は、英単語もAIに聞けば3秒で答えが出ます。昔は紙の辞書で調べて3分かかったことを考えれば、今のほうが圧倒的にタイパがいい。でも、AIが3秒で出した英単語を今の子どもたちは全然覚えられないんですよ。辞書で調べていた3分間にいろいろ考えていたのかもと思います。
勉強にも「基礎練期間」がある
西岡:今の子どもは、「これについて考えてみてください」と問いを出すと、答えらしきものを考えたあと、僕が「正解」を言うのを待つんです。でも、僕の出す問いは、必ずしも正解がある問いばかりじゃないんですよ。
古文も、学者によって文章の解釈には議論がありますし、そもそも教科書が間違っていることもあります。鎌倉幕府成立は、以前は1192年と習いましたが、今は1185年。こんなことはいくらでもある話ですが、答えを答えとして受け取りすぎているようにも思います。
堀田:「答えがない」ということは僕もよく感じています。最新の理論として注目された科学的研究が、その後に否定されて衝撃を受けたことが何度もあります。でも、それが科学だとも思います。
西岡:そうですね。疑っていいわけです。
堀田:そこに面白みを感じれば、知的生活が豊かになっていきますよね。勉強が楽しくなった瞬間って、「へえ、そうだったのか!」というアハ感覚があった時です。
今では日常的に使っている英語も最初は暗中模索でしたが、突然、数学的に分析できる瞬間があったんです。きれいに理解できるようになって「へえ!」という感覚を得たのもあって、僕は言語学者になったんです。
西岡:野球部でも、走り込みはつまらないけど、試合に出れば「野球は楽しい」と感じるわけですよね。同じように、勉強も、走り込みの期間が長いんですよ。でも、走り込んでいないと勉強の楽しさもわからない。ただ、その走り込みの期間がAIによって短くなっている気もします。
堀田:飛行機の離陸のように、最初はしんどい。でも、飛べば違う世界が開ける。苦労があるからこそ喜びがあるわけですし、そこを経験してほしいですね。
構成:泉美木蘭


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