2度目のうつは39歳の時に訪れる。外資系企業に移り、マイクロソフトに転職した後、本部長に昇進した越川さんは、再び仕事中心の生活を送るようになった。越川さんの睡眠時間は3時間に減少していた。
越川さんが睡眠不足に陥った理由は主に2つある。一つが、日本と本社のあるアメリカに約17時間の時差があることだ。本社の始業開始時間は日本の23時のため、打ち合わせや会議の開催は夜中が多くなる。それに伴い、就寝時間も遅くなった。
もう一つが、時差ボケである。当時の越川さんはヨーロッパとアメリカ、アジアなどのエリアを担当していたため、海外出張も多かった。
「1年間で地球を何周もするほど飛行機に乗っていました。その生活を繰り返していると時差ボケが治らなくなるんですよね。徐々に夜に眠れなくなり、朝に起きれなくなりました。睡眠障害を発症した結果、2回目のうつになりました」
「次にうつが再発したら立ち直れなくなる」と危機感を抱いた越川さんは、本格的に睡眠の改善に取り組む。まず、着手したのが「やらないことを決める」ことだった。
「外資系の企業では成果が全てです。でも、実績を残さない時に限って、出席する会議を増やしたり、時間をかけて会議資料を作ったりしていたんですよね。それらをやめました」
また、自身の睡眠習慣も見直した。仕事が忙しい時は休日に寝だめをしていたが、平日と休日の起床時間を変えないことを心がけた。
「休みの日に10時間以上まとめて寝ることもありました。ただ、それを続けると時差ボケのような状態に陥って、生活リズムが崩れます。寝だめをやめました」
6時間から7時間の睡眠時間を確保するようになった効果は仕事の成果にも表れた。越川さんはワードやエクセルなどの大型事業の責任者に就任。「睡眠時間を取るようになったら、より成果を残すことができました。20代の頃から睡眠時間をしっかり取ればよかったと思います」と振り返った。
睡眠の質を上げる4つの方法
現在、越川さんは睡眠習慣を変える支援を行っている。これまでに支援したクライアントの数は3万2000人に上る。どのようなことを提案しているのだろうか。
「クライアントに試してもらった結果、朝の習慣化より、夜の習慣化の方が取り組みやすいとわかりました。『入眠実験』と呼び、失敗を含めて試行錯誤を楽しめるような提案をしています」


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