近年では、「考えながら体を動かすこと」が子どもの脳にどのような影響を与えるのか、世界中で研究が進められています。
実行機能の研究で知られるDiamond博士らは、「考えながら体を動かす経験」が、集中力や判断力、自分をコントロールする力を育てるうえで大切だと報告しています。
また、運動と脳の研究を続けているTomporowski博士らも、ただ同じ動きを繰り返す運動より、「考える」「判断する」「ルールが変わる」といった要素を含む運動の方が、子どもの認知機能によい影響を与えやすいとまとめています。つまり、「ただ走る」だけではなく、「考えながら走る」ことに意味があるということです。
私は、このような研究結果を見るたびに、「やっぱりそうだった」と感じます。
子どもたちを指導していると、鬼ごっこやボール遊びが好きな子ほど、状況を見て判断したり、新しい遊びを思いついたり、友達と相談しながら遊び方を工夫したりする場面を数多く見てきました。長年現場で感じていたことが、近年の研究によって少しずつ裏付けられるようになってきたのです。
大切なのは、「考えながら体を動かす経験」が、子どもの考える力そのものを育てているということです。運動は筋肉だけを鍛えるものではなく、脳にもさまざまな刺激を与えています。
ただ走るだけでも体力はつきます。しかし、「いつ走るのか」「どちらへ動くのか」「どうすれば相手をかわして目的を達成できるのか」を考えながら動くことで、体だけでなく脳も一緒に鍛えられていきます。
だから私は、子どもの運動では「たくさん動くこと」だけでなく、「頭も使いながら動くこと」を大切にしてほしいと思っています。
遊びによって異なる育ちやすい力
次の表は、それぞれの遊びで特に育ちやすい力をまとめたものです。

もちろん、これらの遊びが一つの力だけを育てているわけではありません。例えば鬼ごっこでも、判断力だけでなく、バランス能力や持久力、コミュニケーション能力など、さまざまな力が同時に育っています。


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