運動によってBDNFの分泌が促されると、神経細胞同士のつながりが活発になります。これは、単に「頭が冴える」という話ではありません。
新しい動きを覚える、先生の話を聞いて理解する、失敗した経験から次の方法を考える。そうした子どもの学び全体に関わる土台づくりにもつながっていると考えられています。
ここで大切なのは、「子どもの脳」であるということです。子どもの脳は、毎日の経験によって大きく変化していきます。
走る、跳ぶ、登る、投げる、転がる、友達と遊ぶ、ルールを覚える。こうした一つひとつの経験が、脳の中に新しい道をつくっていくようなものです。
BDNFは、その道づくりを助ける存在だと考えると分かりやすいでしょう。体を動かすことで脳が刺激され、そこに学習や遊び、人との関わりが加わることで、子どもの脳はさらに育ちやすい状態になります。
つまり、子どもにとっての運動は、脳がさまざまな経験を受け取りやすくするための、大切な準備でもあるのです。
大人にとってのBDNFは、脳の働きを保ち、年齢とともに起こりやすい衰えを防ぐうえで重要だと考えられています。
一方、子どもの脳は、今まさに成長している途中です。毎日の経験を通して、新しい神経回路をどんどんつくりながら発達していきます。言い換えれば、大人にとってのBDNFが「脳を守る」役割だとすれば、子どもにとってのBDNFは「脳を育てる」役割がより大きいと考えることができます。
もちろん、BDNFだけで頭が良くなるわけではありません。
運動、睡眠、栄養、遊び、人との関わりなど、さまざまな要素が重なり合って、子どもの脳は育っていきます。勉強すること、読書をすること、自然の中で遊ぶことなど、さまざまな経験が神経回路を豊かにしていきます。
身体活動量が多い子どもほど、集中力や学習に向かう傾向
子どもたちに運動指導をしていると、「勉強ができる」というよりも、「勉強に向かう準備」が整っていることが多いということです。


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