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「その報告、製造現場に関係ないのでは……?」
年に1回の社内発表会。展示会で新商品「ブルーラベルマッチ」が好評で、新規取引先が複数決まったと営業担当が報告した直後、製造現場の社員から飛んだ言葉だ。
兵庫県姫路市の老舗マッチメーカー日東社。国内で圧倒的シェアを誇った広告マッチの衰退とコロナ禍を経て、2023年に売り上げの8割を占める紙事業を譲渡、マッチ一本に絞った。
日東社5代目の専務取締役大西潤さん(34)が仕掛けた1箱500円のマッチは、高価格帯ながら、X投稿が94万インプレッションを記録。大きな注目を集めた(前編を参照)。
一方で、組織改革はまだ道半ばだ。
「組織の風土を変えるというのは、泥くさく、厳しい道のりです。ブルーラベルマッチのヒットは一つのきっかけにすぎません。いちばんの課題は、会社のなかで長い間蓄積されてきた受け身の姿勢と、部門間の温度差をどう溶かしていくかという点ですね」
前職で、組織人事コンサルタントとして数々の企業の組織改革に携わってきた大西さん。その経験を持ってしても、家業であり120年超の歴史を持つ老舗企業の空気は頑ななものだった。
管理職が毎日「会長の自宅」へ通っていた
大西さんが日東社に入社したのは2019年7月。前職の組織人材コンサルティング会社リンクアンドモチベーションで約4年勤務し、成績優秀で表彰されるほどの実績を上げ、27歳で家業に戻った。
入社してすぐに肌で感じたのは、1900(明治33)年の創業から受け継がれてきた、強烈なトップダウン文化だ。


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