7月初旬、台湾の政府機関がサイバー攻撃に遭い、職員情報などが盗まれた。攻撃者は最大8体のAIエージェントを同時に動かし、政府系ITベンダーや原子力安全機関、エネルギー企業の脆弱性(システムの穴)も探っていた。
イスラエルのセキュリティー企業Dreamの分析によると、約4日間で85のアカウントが破られ、2500件超の人事関連情報などが窃取されたという。攻撃主体は特定されていないが、使用言語などから中国語を使う攻撃者の関与が浮上している。
「台湾海峡をめぐる緊張が高まれば、中国が日本の電力・金融といった重要インフラに対してもサイバー攻撃を仕掛けてくるおそれがある」
そう指摘するのは、自衛隊の元海将補で、富士通ディフェンス&ナショナルセキュリティ安全保障研究所主席研究員の佐々木孝博氏。「中国は2010年代から日本政府のウェブサイトなどに大量のデータを送りつけるDDoS攻撃などを継続して行っており、近年は防衛産業などを狙った情報窃取へとシフトしている」(佐々木氏)という。
そこに新たな脅威として加わったのが、攻撃者の能力を大幅に引き上げる「フロンティアAIモデル」だ。佐々木氏は「台湾有事を想定した場合、サイバー攻撃の脅威は間違いなく高まっている」とし、「これまで想定していなかった攻撃手法や、未知の脆弱性を突くサイバー攻撃に備える必要がある」と警告する。
軍事侵攻前から始まるハイブリッド戦
現代の戦争で主流になっている戦い方は、軍事と非軍事を組み合わせる「ハイブリッド戦」だ。
平時から偽情報や自国に都合のよいナラティブ(物語)を広める「情報戦」で相手国の世論を揺さぶり、グレーゾーン事態(平時とも有事ともいえない状態)が深まると防衛情報の窃取や重要インフラへの侵入を狙うサイバー攻撃が活発化する。
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