本書には、同じ金額であっても、どうやって手に入れたお金かによって価値の感じ方が変わる「心の会計」という行動経済学の話が出てきます。お小遣いとして渡された中の1000円と、親が文房具代として出す1000円は、金額は同じでも、子どもにとっては別物です。自分のお小遣いから出すとなれば、鉛筆1本にも慎重になってしまいます。
だから私は、子どもに節約を覚えさせることより、「学ぶために必要なお金まで惜しむようにさせないこと」のほうが大事だと思います。教育にかけたお金は、どこでどう役に立つか、すぐにはわかりません。人間は100年計画で育てるものですから。
高価でも「息子が一番欲しい靴」を買った理由
「学ぶために必要なお金は惜しまない」と言いましたが、何でも欲しいものを買い与えていたわけではありません。洋服は全部お下がりで、娘にも男の子3人が着たTシャツを着せていたくらいです。
ただ、長男が灘中でサッカー部に入っていたときのことです。スパイクを買いに行くと、本人が「当時活躍していた本田圭佑選手のモデル(約3万5000円)が欲しい」と言いました。
内心、「中学生の部活用の靴としては、高価すぎないかしら?」と思いましたが(笑)、「高いから普通の靴にしたら」とは言わず、本人が一番欲しい靴を買いました。
自分が欲しかった靴で試合や練習をすると、気持ちが上がります。心から憧れたスパイクを履いてサッカーに臨むことは、日々の厳しい練習を乗り越えるモチベーションになると思ったのです。大事な場面で身につけるものは、気持ちも変えるものですから、中学生といえど大事にしました。
特に「ここぞ」というときには、子どもの願いをできるだけ叶えるということは私の子育てのテーマの一つです。それは、「贅沢」とは違うと思っています。
後日、長男はある取材で「お母さんにしてもらって、いちばんありがたかったことは何ですか?」と聞かれ、「高いサッカーシューズを何も言わずに買ってくれたこと」と答えていました。


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