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「このプロジェクトは難しすぎる」と言う部下に「そうだよね」は不十分…1on1、子育てにも役立つ"相手を育てる"聞き方

11分で読める
上司と部下
部下や子どもの「やりたい」を引き出す対話のコツをお届けします(写真:kouta/PIXTA)
  • 山口 拓朗 伝える力【話す・書く】研究所所長/山口拓朗ライティングサロン主宰 

INDEX

相手の潜在能力を引き出し、自律的な行動を促す「牽引モード」の聞き方とはどのようなものでしょうか。部下や子どもの「やりたい」を引き出す対話のコツを、山口拓朗氏の新著『聞く力は最高の知性である』から抜粋・編集してお届けします。

牽引モードとは、相手のポテンシャル(潜在能力・伸びしろ)に光を当て、自律的な行動を引き出すための聞き方です。部下やスタッフの育成や1on1、子育ての場面などで効果を発揮します。

多くの人が自分の強みや才能に無自覚です。また、自身に眠る可能性の大きさに気づいていません。

正解を与えるのではなく、問いによって相手自身に気づかせる聞き方をすることで、相手の気持ちが「やらされている」から「やりたい」に変わります。リーダーや上司、教育関係者、親など、人を導く人たちの武器になります。

「引っ張る」のではなく「伴走する」

リーダーの立場になると、多くの人が無意識に「教える側」に立ちたがります。「こうしたほうがいいよ」「自分のときはこうだった」とアドバイスを与える。

もちろん、それは親切心であり、相手の成長を願う気持ちから出てくる言葉でしょう。しかし、その善意が、ときに相手の自発性や成長意欲を削いでしまうこともあります。

牽引モードで大切なのは、「指導」ではありません。「伴走」の姿勢で関わることです。聞く側が「正解を持っている人」ではなく、「一緒に考える人」として寄り添うことで、相手は、自分の頭で考え、自律的に行動するようになります。

私のクライアント(Aさん)が、あるプレゼンテーションの準備をしているときのこと。「何を話せばいいのかわからない」と相談してきました。

このとき私は「この順番で話してください」「ポイントは3つにまとめて」と具体的に教えることもできました。しかし、その言葉を飲み込み、代わりにこう尋ねました。

「どんなふうに伝わったら、うまくいったと思えますか?」。Aさんは、少し考えてから「参加者が少しでも『やってみたい』と思ってくれたら成功だと思います」と答えました。

そこで私は、「では、その人たちの目線で考えたとき、どんな話が一番刺さりそう?」と問いを重ねました。すると、Aさんの内側から少しずつアイデアが湧き出してきました。

私はその話を丁寧に聞きながら、ときどき「それ、いいですね」「その視点はおもしろい」と声をかけるだけにとどめました。

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