INDEX
牽引モードとは、相手のポテンシャル(潜在能力・伸びしろ)に光を当て、自律的な行動を引き出すための聞き方です。部下やスタッフの育成や1on1、子育ての場面などで効果を発揮します。
多くの人が自分の強みや才能に無自覚です。また、自身に眠る可能性の大きさに気づいていません。
正解を与えるのではなく、問いによって相手自身に気づかせる聞き方をすることで、相手の気持ちが「やらされている」から「やりたい」に変わります。リーダーや上司、教育関係者、親など、人を導く人たちの武器になります。
「引っ張る」のではなく「伴走する」
リーダーの立場になると、多くの人が無意識に「教える側」に立ちたがります。「こうしたほうがいいよ」「自分のときはこうだった」とアドバイスを与える。
もちろん、それは親切心であり、相手の成長を願う気持ちから出てくる言葉でしょう。しかし、その善意が、ときに相手の自発性や成長意欲を削いでしまうこともあります。
牽引モードで大切なのは、「指導」ではありません。「伴走」の姿勢で関わることです。聞く側が「正解を持っている人」ではなく、「一緒に考える人」として寄り添うことで、相手は、自分の頭で考え、自律的に行動するようになります。
私のクライアント(Aさん)が、あるプレゼンテーションの準備をしているときのこと。「何を話せばいいのかわからない」と相談してきました。
このとき私は「この順番で話してください」「ポイントは3つにまとめて」と具体的に教えることもできました。しかし、その言葉を飲み込み、代わりにこう尋ねました。
「どんなふうに伝わったら、うまくいったと思えますか?」。Aさんは、少し考えてから「参加者が少しでも『やってみたい』と思ってくれたら成功だと思います」と答えました。
そこで私は、「では、その人たちの目線で考えたとき、どんな話が一番刺さりそう?」と問いを重ねました。すると、Aさんの内側から少しずつアイデアが湧き出してきました。
私はその話を丁寧に聞きながら、ときどき「それ、いいですね」「その視点はおもしろい」と声をかけるだけにとどめました。


※ログイン後、コメント入力が可能です。