リーダーシップにおいては「感情を理解する力」と「感情に振り回されない自己制御力」の両輪が必要だとされています。
感情に巻き込まれにくい人ほど、自分の心の余白を保ちやすく、継続的に人を支えることができるのです。認知的共感は、優しさを長く持続させるための技術でもあるのです。
ただし、あまりに冷静すぎると、「冷たい」「見透かされている」と受け取られることもあるので注意しましょう。
大切なのは、相手に「ちゃんとわかってくれている」と伝わる温度を添えること。「感情的共感」で安心の土壌を耕し、「認知的共感」で相手の視野を広げる。このコンビネーションを大切にしましょう。
表層ではなく、深層にある「本質」に耳を傾ける
あなたが人と話していて、「あ、この人には何を話しても大丈夫だ」と思う瞬間があるとしたら、それは、相手に対して、「この人は、自分の本質を見てくれている」と感じるからではないでしょうか。
本質とは、物事の中心にある核、つまり「本当に大切にしていること」です。
表面的な事実や現象に惑わされず、その背景にある意味や価値、構造、動機にまで思いを巡らせられる人は、相手の言葉の奥にある本質に気づくことができます。相手からすると「真の自分を見てくれている」と感じる瞬間です。
たとえば、部下が「最近ちょっと仕事がきつくて」と漏らしたとします。表面的には「業務量が多い」「疲れている」という話のように聞こえますが、聞き上手な人は、言葉の奥に意識を向けます。
そして、「きついと感じるのはどういうとき?」「何か気になっていることがある?」「人間関係はどう?」「体調面は問題ない?」など、相手の内側にある「本当の言葉」を引き出す質問を自然と投げかけることができます。
本質を引き出す際に求められるのが、「問いの質」です。
言葉の表層だけに目を向けるのではなく、「具体的にどんな感じ?」「たとえば、どの辺が気になる?」と相手の深層へ質問を投げかけると、相手の思考は自然と内面へと向かいやすくなります。場合によっては、本人が自覚していなかった思いや価値観に触れ、「自分の本当の課題はここだったのか」と腑に落ちることもあります。
なお、本質を引き出すには「間」も重要です。
質問を投げかけたあと、すぐに返答がなかったとしても、焦って沈黙を埋めようとしてはいけません。相手が自分の内側に潜り、言葉を探している時間を尊重すること。その沈黙を待つ姿勢そのものが、「あなたの本質を大切にしたい」というメッセージになります。


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