男性の野球ファンにとどまらず、SNSを通じてスタイルやファッションへの憧れから、日本の若い女性層からも支持を集めている点が特徴だ。実際、23年の日本メディアの取材では、リン・シャンさん自身が「ファンの8割が女性」と明かし、同性からの支持を得ていることを喜んでいる。
このように、チアリーダーによる応援が台湾プロ野球の大きな魅力の一つとなっているが、現在のような応援スタイルが当初から確立していたわけではない。球団の戦略や経営事情、さらには社会のトレンドなどを背景に、その姿は時代とともに変化してきたのである。
「応援」から「エンターテインメント」へ
台湾プロ野球の応援スタイルは、従来のメガホンや楽器を用いた鳴り物応援から、ダンスと電子音楽を中心としたエンターテインメントへと変化してきた。これは、台湾の野球が日本の野球文化の影響を強く受けながら発展してきたこととも関係している。
台湾プロ野球がスタートした90年代から2010年代前半ごろまでは、メガホンやブラスバンドなどを用いた応援が主流で、日本のプロ野球の影響を受け、外野席を中心にトランペットや太鼓、メガホンなどを使って声援を送るスタイルが一般的だった。
しかし12年、Lamigoモンキーズ(現・楽天モンキーズ)の球団関係者が韓国・釜山で開催されたアジアシリーズを視察し、韓国プロ野球の応援スタイルや球場演出から大きな刺激を受けた。これをきっかけに応援改革が進められ、13年には選手別の応援歌を電子音楽に編曲し、DJや専属チアリーダーの「LamiGirls」を組み合わせた新たな応援スタイルを導入した。
さらに14年には「全猿主場」と名づけた応援を開始。内野席全体をホームチームの応援エリアとし、チアリーダーやDJ、応援団、ファンが一体となってチームを盛り上げる現在の「台湾式応援」の原型を形作ったのである。
球団側は、単に「野球の試合そのもの」を見せるだけでなく、「球場で過ごす時間そのもの」の価値を高める方向へと戦略を転換したと言える。内野に設けた応援ステージを中心に、観客がチアリーダーと一緒に踊ったり声援を送ったりできる参加型のエンターテインメントを提供することで、従来とは異なるファン層を球場に呼び込むことにもつながった。


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