だが、金メダル候補の岡本には、やめる自由はなかった。一時は引きこもりのようになりながら、東京オリンピックを迎えた。
推薦ではなく一般入試で大学に
「もう見たくもないし、思い出したくもない。スケボーは絶対に二度とやらない」
世間が岡本やスケートボードへの関心を高めるのをよそに、彼女はオリンピックでを終えて家に帰ると、スケートボードに関するすべてを目に入らない場所に押し込み、それまでの自分のすべてを封印した。
中学3年生の夏、ちょうど進路を考える時期だった。
「高校もスケボーの推薦ではなく、一般入試で入りたい」と猛勉強を開始。大会に出場するため、中学にはほとんど行けていなかった岡本は、「まずは3年分の数学を1カ月くらいで終わらせて。次は英語を1~2カ月かけて勉強して、という感じでなんとか間に合わせました」。
平日は17時から22時まで、学校がない日は朝から晩まで1日中、塾で机に向かった。「だんだんわかるようになってくるのが楽しくて、スケボーを始めたときのように夢中になって勉強しました」。勉強机の横に解き終わったプリントの束が50cmほど積み上がった頃、合格の吉報が届いた。
「塾にお礼に伺ったら、塾長からものすごい集中力でしたね」と言われました。塾の先生もオリンピアンの没頭力に脱帽したそうだ。
愛知県内の私立高校に進学し、バスケットボール部に入部した。「母が中学時代にバスケをしていたと聞いて、ずっとバスケ部に入りたいと思っていました」。勉強も継続し、成績は常に上位。「普通の高校生活」を満喫した。


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