数ある交通機関の中でも安全な乗り物として認識されている鉄道だが、それでも事故を完全になくすことは難しい。事故も大小さまざまで、障害物に接触するといった軽微なものから、列車同士の衝突事故という重大なものまである。
とりわけ、踏切における大型トラックとの衝突や、列車同士の衝突のような重大事故の場合、とくに最前部にいる乗務員に危害が及ぶ可能性は高くなる。高速で走っている列車の衝突時のエネルギーは凄まじいが、車体構造によってある程度は乗務員を守ることができる。
厳しい安全基準が義務化
日本では、1992年に千葉県の成田線で発生した踏切事故で乗務員が命を落としたことが契機となり、1994年に登場したJR東日本のE217系電車が在来線初となる衝撃吸収構造を採用したことが知られている。
EUでは2008年、衝突事故が発生した際の耐衝撃性に関する基準が制定された。「EN15227」(鉄道車両の衝突安全性能要件)という規格で、事故発生時に乗務員を可能な限り保護するのが目的である。2012年以降に新造された車両は、すべてこの規格にある衝突安全性をクリアすることが義務付けられた。併せて、車体構造に関する規格(EN12663/鉄道車両車体の構造要件)も改訂されている。
この「EN15227」によって大きく影響を受けたものがある。車両の前面デザインだ。

