世界的に見れば、ヨーロッパの鉄道は日本と同様、先進的なシステムとされているが、それでも事故は発生しており、乗務員が命を落とす不幸なケースも見られる。古い車両では車体が大きく変形し、死傷者が発生する事故も多く見られた。
だが、EN15227が制定されてから造られた車両は、明らかに衝突時の前頭部分の変形が少なく、効果を発揮していることが事故現場の映像から見て取れる。
以前の記事(2024年7月23日付『衝突事故で「1両だけ大破」、欧州鉄道の隠れた課題 各国で成長、新興鉄道の車両調達に落とし穴?』)で紹介した、チェコ国内で発生した貨物列車と旅客列車の正面衝突事故では、貨物列車を牽引していた旧型機関車は先頭部分が原形をとどめないほど大破したのに対し、旅客列車を牽引していたアルストム(旧ボンバルディア)製の新型機関車「TRAXX3」(2022年以降に新製)はほぼ原形を保っていた。
車両の「顔」デザインに制約
EN15227は、実際の事故を想定した4つのシナリオがあり、それぞれの状況で乗務員室の空間が規定以上確保されていることが条件とされている。
●時速36kmでの80mトン(79ロングトン/88ショートトン)の貨車との衝突
●踏切における時速110kmでのトラックとの衝突
●踏切における乗用車などの小型物体との衝突
車両の前面デザインは、各社のイメージを決定付けるものとして、これまで比較的自由に設計されてきた。しかし、EN15227が制定されてからは、その基準を達成するためにある程度の制約を受けるようになった。

