アメリカの税制では慈善寄付金控除が認められており、実質的な落札額とカタログ上の車両価格との差額が、大きな節税効果を生む構造になっている。シリコンバレーの富裕層が集結する、カリフォルニアという環境も完璧に機能した。
この取引を計算された“マーケティング演出”と評する声があるのは事実だ。しかし、伝統的なエンジンの神話を脇に置き、未知のEVハイパーカーであっても、ストーリーの紡ぎ方と社会的価値の付与、そして富裕層コミュニティとの信頼関係によって、ここまでのブランドバリューを創出し得ることをフェラーリは証明した。
自動車というプロダクトは、単なる移動手段やハードウェアではなく、文化であり、所有者のステータスであり、社会貢献の文脈を帯びた芸術作品として定義されるのである。
モントレーに刻まれた日本車の足跡と、開花し始めたヘリテージ
このような欧州ハイエンドブランド主導の舞台において、近年急速にその存在感を増しているのが日本車である。モントレー・カー・ウィークは、日本車の歴史的再評価という点で決定的な転換点となった。
「ザ・クエイル」の芝生の上では、今年「The Legacy of Japanese GTs」と題された特別クラスが設立された。アキュラが新たなコンセプトカーを世界初公開し、会場中央にはHRC(ホンダ・レーシング)が広大なブースを構えた。
“Car Park Concours de Quail-gance”、いわば“勝手に裏コンクール・デレガンス in ザ・クエイル駐車場″とでも言うべき賞を獲得したのは、なんと1997年トヨタ「クラウンタクシー」だ。
このクルマは、タクシードライバーのコスプレ付きで、大いにウケていた。日本の都市風景を支えてきた実用車が、カリフォルニアの超富裕層の前で独自の自動車文化として評価されたのだから(笑)。


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