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親の感情を子どもが背負い、子どもの失敗を親が背負う—「ニコイチ親子」を生む"過剰同調"、健全な共感との違いとは?

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(写真:buritora / PIXTA)
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例えば、思春期の子どもが、学校での友人関係のトラブルについて「あの子、本当にムカつく、もう学校に行きたくない」と強い怒りと不満を訴えてきたとします。このとき、子どもの感情に巻き込まれ、「本当にそうね、お母さんもあの子はムカつく、許せないわね」と相手の感情に吞み込まれてしまうのが「過剰同調」や「情動伝染」です。

一時的で意図的に境界線を外すことは、相手との一体感を生み出し、相手のマイナス感情を自分のプラス感情で癒やすことが可能ですが、境界線を回復できないとプラス感情を吸い取られてしまいます。

「そうか、そんなことがあって、ムカつくって感じるほど腹が立ったんだね。すごくつらかったね」と、相手の感情の存在をそのまま受け止めつつも、親自身は一旦、境界線を外して相手の身になっても、すぐに自他の境界線を回復し、再び離れた位置から状況を理解しようとするのが「共感」です。

共感的な対応は、マイナス感情を一時的に共有しながらも、支援者としての境界線を回復することで、子どもが持つマイナス感情を一時的に吸収し、落ち着きを取り戻すのを助けることができます。

また、情動伝染は家庭内だけでなく、職場などの集団でも容易に発生します。機嫌の悪い上司がオフィスに入ってきただけで、一言も言葉を交わしていないのにフロア全体の空気がピリピリと張り詰め、全員が原因不明の焦燥感や胃の痛みを抱えるようになる現象は、まさに感情がウイルスのように伝染する過剰同調の典型例です。

「ニコイチ親子」は何が問題か

過剰同調状態が慢性化し固定化されると、人間関係、とりわけ親子関係において「ニコイチの関係(心理的癒着)」と呼ばれる不健康な状態を引き起こします。心理的癒着とは、自分と相手との心の境界線が完全に不明瞭で重なり合ってしまった状態のことを指します。

一般的な親子関係では、思春期や反抗期を経て徐々に心理的な距離が生まれ、2個で2個の独立した関係(ニコニコの関係)へと成熟していきます。ただし、境界線の形成が不十分な9〜10歳頃までは、子どもは違和感や苦痛を感じながらも、親の同調圧力(正論)に逆らえず、親の感情を吞み込んでしまいます。

この境界線の形成がうまくいかないと、無自覚なまま強固な癒着状態が継続します。癒着状態にある親子では、親のマイナス感情を子どもが「自分の問題」として背負い込んだり、逆に子どもの失敗や挫折を親が「自分の失敗」のように感じて激しく動揺したりします。

ニコイチの関係では、子どもが自分の進路や就職、結婚を決断する際に、「自分がどういう人生を歩みたいか」という主体的な意思(自分軸)ではなく、「これをしたら親が悲しむのではないか」「親が反対したら、見捨てられる不安で決断できない」という親視点の思考(他人軸)が常に優先されてしまいます。

子どもが過保護や過干渉な親のもとで育った場合、親が先回りして子どもの問題を解決し、感情をコントロールしようとするため、子どもは自分自身で困難に立ち向かい、自己肯定感を育む機会を奪われます。

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