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最近、SNSで「ドパガキ」という言葉をよく目にするようになりました。
「ドーパミン中毒のガキ」を縮めたネットスラングで、ショート動画やSNS、ソーシャルゲームなど、手軽に強い刺激を得られるコンテンツに慣れすぎてしまった人を指す言葉です。2026年上半期には、ガジェット通信の「ネット流行語大賞」で6位に入るほど広がりました。
長い動画を最後まで見られない。本を数ページ読むと飽きてしまう。じっくり考えるより、すぐに答えを知りたくなる。少しでも退屈すると、反射的にスマートフォンを開いてしまう――。こうした「即時的な刺激を求める行動」を、やや揶揄する意味で使われています。
とはいえ、最初に断っておかなければなりません。「ドパガキ」は医学的な診断名ではありません。また、ドーパミンは単なる「快楽物質」ではなく、報酬に対する欲求や動機づけ、学習などに関わるものです。したがって本稿では、「強い刺激や、すぐに得られる答えに流されやすい行動傾向」を表す便宜的な言葉として使います。
東大生の37%は、数学の問題に15分以上悩む
さて、ここで一つの疑問が湧きます。
東大生に「ドパガキ」は多いのでしょうか。それとも、少ないのでしょうか。
ショート動画ばかり見ていると、なんとなく集中力や学力にも悪影響がありそうな気がします。反対に、難しい問題に長時間取り組んできた東大生は、即時的な刺激を求める傾向が弱いのでしょうか。
結論から言えば、今回のアンケートだけで「東大生にはドパガキが少ない」と統計的に断定することはできません。一般の学生との比較調査ではありませんし、そもそも「あなたはドパガキですか」と尋ねたわけでもないからです。
しかし、東大生149人の回答からは、いわゆる「ドパガキ的な行動」とは反対の学習習慣を持つ人が多いことがわかりました。
その習慣とは、「わからない状態に耐えること」と、「目新しさより反復を選ぶこと」です。
一番わかりやすいのが、数学の問題への向き合い方です。
弊社が運営するアプリ「東大生アンケート」で、東大生149人に「数学の初見問題で解法が思いつかず、行き詰まったとき、どうしていたか」と尋ねたところ、次のような結果になりました。
・ある程度考えてから解説を見た:48%(71人)
・5分以内に解説を見た:15%(23人)
「5分以内に解説を見た」と答えた人は、わずか15%でした。裏を返せば、85%の東大生は、少なくとも一度は自分で考える時間を取ってから解説を見ていたことになります。
もちろん、すぐに解説を見ることが常に悪いわけではありません。基礎知識がまったくない問題を30分眺め続けても、効率がいいとは限りません。わからない問題を抱え込みすぎて、勉強そのものが嫌になってしまっては本末転倒です。
大切なのは、解説を見るかどうかではなく、「解説を見る前に、自分なりの仮説を作ったか」という点です。
問題文の条件を書き出す。図を描く。簡単な数字を代入してみる。使えそうな公式を並べる。特殊な場合を考える。過去に解いた似た問題を思い出す。
こうした試行錯誤をしたうえで解説を読むと、「なぜ自分は解けなかったのか」が見えるようになります。一方、ほとんど考えずに答えを見てしまうと、「読めばわかる」という感覚だけが残り、自分一人で解法を生み出す力はなかなか育ちません。
東大生の自由記述にも、こんなコメントがありました。
「あきらめずに立式や実験をして、部分点を取ったり、糸口を見つけたりできた」
「考えることに慣れたことで、時間が過ぎることへの焦りが少なくなった」
「試行錯誤のパターンが身に付いた」
彼らは、単に「我慢強い」のではありません。「考え続けた時間が、次の問題を解くための材料になる」と知っているのです。



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